キトーは長期上昇トレンド継続、自律調整挟みながら上値追い
搬送機器メーカーのキトー <6409> の株価は、5月30日に1月高値2368円を突破し、6月4日には2580円まで上値を伸ばす場面があった。目先的には過熱感を強めているが、長期上昇トレンド継続の形だ。今期(15年3月期)も好業績見通しであり、過熱感を冷ますための短期的な自律調整を挟みながら上値を追う展開だろう。
工場内で使用される電気・手動チェーンブロック、ロープホイスト、クレーンなどを主力とする搬送機器の大手メーカーである。中期経営計画では「真のグローバルNO.1のホイストメーカー」を目指し、日本、北米、中国、アジア、欧州の地域別戦略などでグローバル化を加速している。積極的なM&A戦略も視野に入れて、目標数値としては16年3月期売上高580億円、営業利益70億円を掲げている。
地域戦略としては、日本・北米・中国での強固な代理店網構築、流通網が未整備のアジア新興国での直販体制強化を推進している。製品戦略としては、日本および北米ではワイヤーロープホイストやシアターホイストなど品揃えを強化する。生産戦略としては、生産コストおよびリスク分散に向けて海外生産能力拡充に取り組む。北米や中国での生産を拡大し、為替リスクや調達コストの低減への取り組みも継続する。韓国・タイ・インドでのクレーン製造能力強化も推進して、13年4月に韓国、13年7月にタイで新クレーン工場が本格稼働した。
5月12日に発表した前期(14年3月期)の連結業績は売上高が前々期比17.9%増の418億55百万円、営業利益が同59.6%増の40億06百万円、経常利益が同67.7%増の40億94百万円、純利益が同2.3倍の23億61百万円だった。配当予想は5月12日に期末10円増額修正して年間40円(第2四半期末15円、期末25円)とした。前々期との比較では13年4月1日付の株式100分割を考慮すると実質的に20円増配となる。
売上高はほぼ計画水準で、利益は計画を大幅に上回った。米州やアジアの好調が全体を牽引し、販売数量増加に加えて、円安効果や生産性向上効果などが寄与した。海外売上比率は72.2%(前々期は67.1%)となりグローバル化が一段と進展した。平均為替レートは1米ドル=100円20銭(前々期は1米ドル=83円10銭)だった。
セグメント別(内部取引消去前および全社費用等調整前)に見ると、日本は売上高が同6.0%増の225億77百万円となり、営業利益が同46.3%増の41億94百万円だった。国内需要は下期から好転し、輸出は円安効果も寄与した。米州は売上高が同28.8%増の130億60百万円、営業利益が同21.9%増の9億03百万円だった。現地通貨ベースでは同7.1%増収だった。製造業やエネルギー関連を中心に需要が堅調に推移し、円安による円換算額の増加、一部製品の現地生産によるサプライチェーン合理化なども寄与した。
中国は売上高が同22.3%増の87億42百万円、営業利益が同32.1%増の9億54百万円だった。現地通貨ベースの売上高は前々期並みだったが、円安による円換算額増加が寄与した。アジアは売上高が同37.1%増の66億49百万円、営業利益が同76.0%増の4億59百万円だった。タイおよびインドネシアを中心に、日系自動車関連産業の高水準の設備投資が追い風となった。欧州は売上高が同29.8%増の15億46百万円、営業利益が45百万円(前々期は1億円の赤字)で黒字化した。需要が堅調に推移し、円安効果も寄与した。
今期(15年3月期)連結業績見通しについては売上高が前期比9.9%増の460億円、営業利益が同17.3%増の47億円、経常利益が同12.4%増の46億円、純利益が同22.8%増の29億円としている。株主還元方針は配当性向20%以上を目途として、配当予想は前期比10円増配の年間50円(第2四半期末25円、期末25円)とした。
中国が全体としてやや低調な見込みだが、日本ではインフラ整備関連の建設・土木向け中心、米州は製造業全般、アジアは自動車関連中心に全体として好調に推移する。米州ではメキシコや中南米での需要拡大も期待され、プロダクトミックス改善効果や生産性向上効果も寄与する。想定為替レートは1米ドル=95円と保守的であり、通期上振れ余地があるだろう。
株価の動きを見ると、1800円~2200円近辺での短期モミ合いから上放れの形となり、5月30日に2417円を付けて1月の高値2368円を突破した。さらに6月4日には2580円まで上値を伸ばす場面があった。強基調に転換した形であり、今期好業績見通しを評価する動きだろう。
6月6日の終値2519円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS222円15銭で算出)は11~12倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間50円で算出)は2.0%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS1612円65銭で算出)は1.6倍近辺である。
日足チャートで見ると25日移動平均線に対するプラス乖離率が18%程度まで拡大して目先的には過熱感を強めているが、週足チャートで見ると26週移動平均線がサポートラインとなって長期上昇トレンドを継続している。今期好業績見通しであり、過熱感を冷ますための短期的な自律調整を挟みながら上値を追う展開だろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
飲食店などに店舗設備・機器メンテナンスサービスを提供するシンプロメンテ<6086>(東マ)の株価は、全般地合い悪化も影響して軟調展開だったが・・・。
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2014-06-09 09:15