ストリームは急騰して底練りから上放れ、収益改善基調を評価
家電やパソコンなどのネット通販サイトを運営するストリーム <3071> (東マ)の株価は5月下旬に動意付き、800円台に乗せて08年5月以来の高値圏で推移している。目先的には過熱感を強めているが、月足チャートで見ると09年から続いた底練り展開から上放れた形だ。収益改善基調であり、過熱感を冷ますための自律調整を挟みながら上値を追う展開だろう。
家電製品、パソコン、デジタルカメラなどを販売するネット通販サイト「ECカレント」「イーベスト」「特価COM」の運営を主力としている。14年1月に子会社の中国・上海思多励国際貿易有限公司(上海ストリーム)の出資持分全部を譲渡して、経営資源を国内ネット通販事業に集中する方針を打ち出した。
テレビやパソコンの需要低迷、商品仕入の混乱などで13年1月期の収益が大幅に悪化したが、その後は資本・業務提携先のベスト電器 <8175> からの仕入が正常化し、市場価格に迅速に対応できるシステム構築、仕入先とのデータ連携強化による取扱アイテム数の増加、販売効率の向上、販売価格の適正化と粗利益の確保、さらに販管費圧縮などの施策を強化して収益は改善基調である。
14年2月には扶桑化学工業 <4368> から、化粧品・健康食品の無店舗販売を展開するエックスワンの株式80%を取得して連結子会社化した。また新規事業としては、ネット通販に関する豊富なノウハウを活用して、他社のネット通販を支援するネット通販支援事業(ECサイト運営業務代行サービス)を強化する方針だ。
6月6日に発表した今期(15年1月期)第1四半期(2月~4月)連結業績は、売上高が前年同期比53.1%増の62億61百万円となり、営業利益が83百万円(前年同期は1億41百万円の赤字)、経常利益が86百万円(同1億33百万円の赤字)、純利益が1億23百万円(同1億31百万円の赤字)でいずれも黒字化した。インターネット通販事業で主力商品の販売が好調に推移し、純利益はエックスワンを子会社化したことに伴う負ののれん発生益61百万円も寄与した。
セグメント別(内部取引等消去前および全社費用等調整前)に見ると、インターネット通販事業は売上高が同64.4%増の58億39百万円、営業利益が1億08百万円(前年同期は1億43百万円の赤字)だった。主力の家電が同2.0倍増収、パソコンが同3.9倍増収、周辺機器・デジタルカメラが同23.3%増収と好調に推移した。販売促進策の強化に加えて、ウインドウズXPサポート終了に伴う買い替え需要、消費増税前の駆け込み需要、テレビ画面サイズ大型化、単価上昇なども寄与した。その他事業(エックスワンの会員制無店舗販売)は売上高が4億31百万円、営業利益が22百万円の赤字だった。消費増税前の駆け込み需要や化粧品のキャンペーン施策が寄与した。
通期の見通しは前回予想(3月12日公表)を据え置いて、売上高が前期比23.7%増の206億46百万円、営業利益が3億79百万円(前期は1億63百万円の赤字)、経常利益が3億72百万円(同1億19百万円の赤字)、純利益が2億86百万円(同84百万円の赤字)の黒字化としている。エックスワンを子会社化したことに伴う負ののれん発生益は通期見通しに織り込み済みとしている。
ウインドウズXPサポート終了に伴うパソコン買い替え需要が好調であり、家電製品に関しても消費増税前駆け込み需要の反動は懸念されるほど落ち込まない可能性が高まっている。売上高の増加に伴って荷造発送費などが増加するが、粗利益率の改善やエックスワンの新規連結なども寄与して収益改善基調だろう。なお第2四半期累計(2月~7月)見通しに対する第1四半期の進捗率は売上高が62.9%、営業利益が76.9%、経常利益が81.9%、純利益が232.1%と高水準であり上振れの可能性があるだろう。
株価の動き(14年2月1日付で株式100分割)を見ると、概ね550円~600円近辺でモミ合う展開だったが、5月下旬に動意付いてモミ合い上放れの展開となった。6月2日には08年5月以来となる800円台に乗せ、6月9日には830円まで上値を伸ばす場面があった。収益改善基調を評価する動きだろう。
6月9日の終値809円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS60円96銭で算出)は13~14倍近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS162円27銭で算出)は5.0倍近辺である。日足チャートで見ると25日移動平均線に対するプラス乖離率が20%程度まで拡大して目先的には過熱感を強めているが、月足チャートで見ると09年から続いた底練り展開から上放れた形だ。目先的な過熱感を冷ますための自律調整を挟みながら上値を追う展開だろう。08年2月以来の1000円台も視野に入る。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
家電やパソコンなどのネット通販サイトを運営するストリームの株価は5月下旬に動意付き、800円台に乗せて08年5月以来の高値圏で推移している。
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2014-06-10 09:00