【為替本日の注目点】ユーロ主要通貨に対し全面安、キャリートレードの対象通貨に

 NY市場  ドル円は特段の材料もなく小動き。102円40銭近辺まで売られる場面もあったが、102円台半ばを挟んでもみ合い。   ユーロは主要通貨に対して下落。先週のECBの包括的緩和策がじりじりと効いてきたとの意見もあり、対ドルでは1.36台半ばから1.3582近辺まで売られた。対円でも139円台後半から139円26銭までユーロ安が進む。   株式市場は小幅ながら上昇。ダウは18ドル高と4日続伸し、S&P500とともに連日の最高値更新。   債券相場は続落し、長期金利は再び2.60%台まで上昇。米投資銀行が米国債について「最大限のアンダーウェート」を進めたことが手がかり。   金は反発し、原油は大幅に続伸。原油は米景気の回復基調が強まるとの見方が背景。   ドル/円 102.38 ~ 102.60  ユーロ/ドル 1.3582 ~ 1.3615  ユーロ/円 139.26 ~ 139.48  NYダウ +18.82 → 16,943.10ドル  GOLD +1.40 → 1,253.90ドル  WTI +1.75  → 104.41ドル  米10年国債 +0.018  → 2.608%  本日の注目イベント  日   5月マネーストック   中   中国 5月消費者物価指数   中   中国 5月生産者者物価指数   英   英4月鉱工業生産   昨日のドル円は102円65銭を頭にじり安の展開になったものの、102円40銭近辺では下げ止まり、NYでは米長期金利の上昇や、株高によるリスクオンからドル円は底堅く推移しています。一方ユーロは主要16通貨に対して大きく売られ、ユーロ全面安の展開でした。  ユーロは先週のECBによる包括的緩和策が効を奏してきたのか、ジリ安の流れになっており、主要政策金利であるリファイナンス・オペの最低応札金利が0.1ポイント引き下げられ0.15%になったことから、円と同様に「キャリートレード」の対象通貨とみなされてきた可能性が高いと見られます。  金利の低い通貨を調達し、その通貨を売って金利の高い通貨を買い、金利差を享受するというのがキャリートレードですが、円が代表的な通貨と見られてます。ただし、このトレードが活発になるには「低ボラティリティー」が継続すると予想されることが条件です。ボラティリティーが高くなれば、金利差どころではありません。金利差を大きく上回る為替差損が発生するリスクがあるからです。個人投資家が「豪ドル円」を買ってスワップポイントを狙う取引もこれとまったく同じです。  ドル円は102円台で堅調に推移していますが、さらに上昇するには、昨日も述べましたが「日足」の「120日線」と「雲」の上限を抜けることが必要です。今朝のその値位置は102円63銭辺りまで降りてきています。ここをしっかりを上抜けし、先週記録した102円80銭を抜ければ、103円台が見えてくるはずです。  今回の102円台でのもみ合いは、ややひいき目に見れば、これまでとは異なっているようにも見えます。ウクライナでの緊張が高まったなか、FRBによる利上げ観測が2015年後半から2016年に先延ばしになるとの観測が広がり、さらに日銀による追加緩和観測も後退し、いずれもドル安円高要因でしたが、結局100円を割り込むことはできませんでした。  「円高ドル安」に賭けている投資家にとっては「ドルは底堅い」という捉え方をしているものと思われます。同じ相場を見てもポジションを持っている方向で、「ドルが底堅い」と見えるのか、あるいは「ドルの上値が重い」と見えるのか異なってきます。ドル円は結局重要な「120日線」を割り込めなかったし、「100円の大台」を割り込めなかったことは今後、大きな意味を持つと考えています。  もっとも、まだ市場の相場観はまちまちで、それがドル円相場を膠着させている一因でもあります。従って、102円台でのもみ合いがまだしばらく続くことは十分考えられますが、それでも102円台が維持されれば、いずれ上値をテストすると予想しています。今朝の新聞でも「円売り復調の兆し」という見出しが躍っていましたが、このような見出しが掲載されると「反対方向」に動くことがままあるため、やや気にはなります・・・。本日のドル円は昨日と同様に、102円20銭~103円程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)
ドル円は特段の材料もなく小動き。102円40銭近辺まで売られる場面もあったが、102円台半ばを挟んでもみ合い。 
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2014-06-10 09:15