世界的に高い若年層失業率、2040年日本の自治体の半数が消滅のおそれ

日本経営管理教育協会が見る中国 第310回--有元舜治(日本経営管理教育協会監査役)
● 高学歴者の就職難
ILO(国際労働機関)の集計で、昨年(2013年)の世界の失業者数は2億人を超え、このうち15歳から24歳の若年層の失業者が7450万人と、失業者全体の3分の1を超えているそうだ。25歳以上の失業者数がほぼ横ばいなのに、若者の失業者は増加しているという。
先進国ではイタリアが40%、スペインでは50%超の若者が失業しており、イタリアの大学卒業生の4人に1人が就職できないという。一方新興国では、生活が豊かになり高等教育を受ける人数が増加しているが、受け皿の仕事がない。韓国では最高学府のソウル大学卒でも3分の1が就職できず、中国では大学卒業者700万人中100万人が就職できない。ベトナムでも大学卒業者の6割が就職先を見つけられないそうだ。
機械化で肉体労働が、ITによる技術革新で知能労働が機械に置き換えられている。6割は機械に置き換わるという人もいる。日本では復興需要などで建設業やサービス業で人手不足になり、当面の就職率は高そうだが、製造業の空洞化で厳しさに変わりはない。
● 日本の自治体の半数が消滅?
増田寛也元総務相を座長とする日本創成会議の分科会が、2040年には若年女性の流出により、約1800の市区町村のうち896市区町村が消滅の恐れがあるとの推計結果を公表した。秋田県では96%、青森県で87.5%、島根県で84.2%、岩手県で81.8%の市町村が若年女性が半減し人口が急減する恐れがあるという。
高齢者の支出への依存度が高い地方経済は、高齢化が進むと同時に高齢者の絶対数が減少して若年女性の働く場がなくなり、大都市へ流出してしまう。東京の出生率は1.13、地方で出生率を上げる努力をしても人口減少は加速される。
● 観光立国・里山資本主義で地方に雇用の場を創ろう
2013年の出生数は前年から7400人減り、102万9800人。合計特殊出生率は微増したが、出生数は減少し、人口減は23万8600人と過去最高になった。若年女性の大都市流出を止めるには地方に働く場所を創るしかない。家電産業のような大企業の工場誘致は望むべくもない。
幸い観光立国も少しずつ成果をあげ、訪日観光客も2013年に1000万人を超えた。徳島県神山町のようにグリーンバレー作戦でベンチャー企業を呼び寄せ、若者の働く場を創り、若者が集まったことで年配者にも働く場ができたところもある。流行語になった「里山資本主義」は地方の特徴を活かした地場産業の創造だ。外国人を呼び寄せる野鳥観光など知恵を出せばビジネスの種はいっぱいある。
知識の詰め込みではなく、知恵の出せる人材の育成が重要だ。
写真は「富岡製糸場と絹産業遺産群(群馬県)」の世界遺産登録で観光業に力を入れる富岡市。(執筆者:有元舜治・日本経営管理教育協会監査役 編集担当:水野陽子)
ILO(国際労働機関)の集計で、昨年(2013年)の世界の失業者数は2億人を超え、このうち15歳から24歳の若年層の失業者が7450万人と、失業者全体の3分の1を超えているそうだ。25歳以上の失業者数がほぼ横ばいなのに、若者の失業者は増加しているという。
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2014-06-11 10:30