【為替本日の注目点】市場は異例な低ボラティリティー、イラク情勢も予断許さず

 NY市場  ドル円はイラク情勢の不透明感からやや円買いが優勢のなか、102円台を割り込む場面もあったが総じて小動き。102円台前半に戻して越週。  ユーロドルも小動き。135台前半から1.35台半ばでもみ合う。  株式市場は3日振りに反発。インテル株やM&Aなどが上昇要因になったが、原油価格の上昇が上値を押さえた。ダウは41ドル高で取引を終える。  債券相場は横ばいで、10年債利回りも2.6%とほぼ変わらず。  金は小幅ながら4日続伸。原油も3日続伸し107ドル台に迫る。  5月生 産者物価指数            → -0.2%   6月ミ シガン大学消費者信頼感指数(速報値)→ 81.2   ドル/円 101.95~  102.14  ユーロ/ドル 1.3521  ~ 1.3547  ユーロ/円 137.72  ~ 138.17  NYダ ウ +41.55 → 16,775.74 ドル  GOLD +0.10 → 1,274.10 ドル  WTI +0.38  →  106.91ドル  米10年国債 +0.003  →  2.600%  本日の注目イベント  欧    ユーロ圏5月消費者信頼感(改定値)   米    6月NY連銀製造業景況指数   米    5月鉱工業生産   米    6月NAHB住宅市場指数   先週末には日銀決定会合があり、その後の黒田総裁の記者会見での為替の反応が心配されましたが、円高方向には振れたものの、今回はその勢いも限定的でした。木曜日のNYダウは100ドルを超える下げを見せたことから、金曜日の日経平均株価はは寄付きから140円を超える下落で始まったものの、午後からは急速に買い戻され、120円を超えるプラスで終わったことも、ドルの買い安心感につながったようです。  安倍政権の「成長戦略」の骨子が出揃いました。注目の「法人税減税」については「数年以内に20%台に」という目標になっており、達成時期と、20%台の、上なのか下なのかがあいまいな印象は残りましたが、それなりに評価される内容だったようです。今後日本企業の「税引き後収益」がかさ上げされ、それが株主配当などに回されれば、株価の上昇につながるといった見方もできます。何よりも日本企業の競争力が高まることになり、ますます海外企業に対するM&Aが活発になると予想されます。  ドル円は102円を挟む水準で推移しています。米長期金利も一時ほどの低下傾向を見せず、2.6%前後で推移していることから100円台へのドル安懸念はやや後退していますが、それでもウクライナ情勢が依然として緊迫していることに加えて、イラクでもイスラム過激派との銃撃戦が緊張を高めており、円がいつ買い戻されるのか予断は許しません。  ドル円は依然として101-103円のレンジ内で取引されており、「6月の成長戦略」が発表される時期にはレンジを抜けて動き出すのではないかと予想していましたが、まだその気配はありません。今年もまだは半分以上残していますが、もしかしたら「2014年は異例な低ボラティリティーの年」になるのかもしれません。米シティーグループなど、大手金融機関では「投資銀行部門」の人員削減を発表していますが、これは市場のボラティリティーの低下が続いていることで、収益機会がなくなっていることに対応したものと思われます。  2014年FIFAワールドカップもいよいよ始まり、市場のボラティリティーはさらに低下することも予想されます、このような状況下では高金利通貨に資金が向かいやすいことから、円など低金利通貨が売られることも考えられます。NZ円や、豪ドル円などをキープする方法が考えられますが、既に水準は高く、なかなかロングで入れないのも事実です。  ここは慌てずに様子をみるしかありません。先週末に発表になったシカゴの通貨先物市場では、円売りポジションが3週連続で増えていました。昨年12月をピークに減少していた円売りポジションは5月の27日を底に、徐々に増え始めたのが特徴的です。今後も彼らのポジションの推移も注意深く見て行きたいと思います。本日のレンジは101円70銭~102円40銭程度を予想しています。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)
ドル円はイラク情勢の不透明感からやや円買いが優勢のなか、102円台を割り込む場面もあったが総じて小動き。102円台前半に戻して越週。
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2014-06-16 09:30