【為替本日の注目点】米指標好調も予期せぬリスクが円買い圧力、イエレンの景気認識

 NY市場  ドル円は米経済指標が好調だったにもかかわらず上値の重い展開。イラク情勢がさらに緊迫してきたことで、101円台後半でもみ合う。  ユーロドルは反発。1.3513まで下落した後、1.3580まで反発。上値が重いとの見方があるものの、1.35が抜け切れない展開が続く。  株式市場はイラク問題が重石となっている中、NY連銀製造業指数が先月よりも上昇していたことを好感し、小幅ながら続伸。  債券相場は僅かに反発。IMFが米成長見通しを下方修正したことでやや買われた。長期金利は2.6%を若干下回る水準に。  金はイラク情勢を反映して小幅ながら6日続伸。原油は反落。   米   6月NY連銀製造業景況指数 → 19.28   米   5月鉱工業生産       → +0.6%   米   6月NAHB住宅市場指数  → 49   ドル/円 101.76~ 101.91  ユーロ/ドル 1.3530 ~ 1.3580  ユーロ/円 137.76 ~ 138.27  NYダウ +5.27 → 16,781.01ドル  GOLD +1.20 → 1,275.30ドル  WTI -0.01  → 106.90ドル  米10年国債 -0.003  → 2.597%  本日の注目イベント  豪   RBA議事録   独   独6月ZEW景況感指数   英   英5月生産者物価指数   英   英5月消費者物価指数   米   FOMC(18日まで)   米   5月消費者物価指数   米   5月住宅着工件数   米   5月建設許可件数   ドル円は昨日の東京タイムに101円72銭までドル安が進み、上値の重い展開で取引を終えました。この流れから、海外市場でもドルが売られ101円台前半までのドル安を想定していましたが、結局NYでは上値が重い展開ながら、東京時間に記録した101円72銭を下回ることもありませんでした。このところのボラティリティーの低下に加え、本日から始まるFOMCを控え様子見ムードが強かった模様です。  特に昨日はNY連銀製造業景況指数や鉱工業生産などが、市場予想を上回ったなかでもドルの上値が重い展開でした。言うまでもなくイラク情勢の緊張が円買いを促しているからです。昨日もイラク軍と、過激派グループでの攻防戦がさらに拡大し、米国がイランと共同で介入する可能性も高まってきました。  このような事態では「安全通貨」の円が買われやすく、さらに金と原油も買われています。金は6月2日には1244ドルまで一貫して売られた後、昨日は1275ドルまで買い戻されています。また、原油価格も昨日は日中に一時107ドル台半ばまで上昇し、昨年9月以来約9ヶ月振りの高値を記録しました。今年はウクライナ問題や今回のイラク問題など、予期せぬ「リスク」が勃発し、米金利の低下傾向とともに、円の買い圧力になっている側面もあります。  本日からFOMCが始まり、明日にはイエレン議長の記者会見が予定されています。現在450億ドルの債券購入を、100億ドル減額することはほぼ間違いないと思われますが、イエレン議長がどのような景気認識を示すかどうかに注目が集まっています。もし、米景気に対する強い自信を見せるようだと、現在早くても2015年後半と見られている利上げのタイミングが前倒しになるとの見方からドル高に振れる可能性があります。  もちろん、弱い景気認識を示すようだと債券が買われ、長期金利が低下してドル安の流れが加速することになりますが、足許の米経済指標から判断すると、その可能性は低いと思われます。  ドル円は再び日足の「200日線」に近づきつつあります。現在その値位置は101円57銭前後にあります。今年に入って何度も下抜けを試して、結局は押し戻された重要な移動平均線です。このサポートラインが完全に下抜けするのか、あるいは再度粘り腰を見せて押し返すのかどうかが今年後半のドル円相場に大きく影響してきそうです。本日のドル円レンジは101円40銭~102円20銭程度を予想したいと思います。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)
ドル円は米経済指標が好調だったにもかかわらず上値の重い展開。イラク情勢がさらに緊迫してきたことで、101円台後半でもみ合う。
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2014-06-17 09:15