ゼリア新薬工業は今期増収増益見通しを評価して出直り本格化

  医薬品メーカーのゼリア新薬工業 <4559> の株価は、3月の直近安値1969円から徐々に水準を切り上げている。6月16日には2338円まで戻した。今期(15年3月期)増収増益見通しや上振れ余地を評価して出直りの動きが本格化しそうだ。1月高値3170円を目指す展開だろう。   消化器分野が中心の医療用医薬品事業と、一般用医薬品などのコンシューマーヘルスケア事業を展開している。医療用医薬品事業では潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」を主力として、13年6月には自社開発新薬の機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」を発売した。コンシューマーヘルスケア事業は「コンドロイチン群」「ヘパリーゼ群」「ウィズワン群」を主力として、コンビニエンスストア向け「ヘパリーゼW」(清涼飲料水)の売上が拡大している。   M&Aを活用してグローバル展開を推進している。08年10月には基礎化粧品のイオナ、09年9月には「アサコール」の開発会社ティロッツ社(スイス)、10年9月にはコンドロイチン原料のZPD社(デンマーク)を子会社化した。13年8月には、ビフォーファーマ社(スイス)と鉄欠乏症治療剤「Ferinject」の日本国内における独占的開発・販売契約を締結するとともに、ZPD社の株式を追加取得して完全子会社化した。   新薬開発は消化器分野を最重点領域と位置付けて、国際的に通用する新薬の創製を念頭に、自社オリジナル品の海外での臨床試験を積極的に推進するとともに、海外で実績のある薬剤を導入して国内での開発を進めている。なお14年4月には、導入品で日本初の月経前症候群治療薬「プレフェミン」(要指導医薬品)に関して製造販売承認を取得した。   今期(15年3月期)の連結業績見通し(5月13日公表)は、売上高が前期比11.3%増の690億円、営業利益が同9.0%増の74億円、経常利益が同8.8%増の74億円、純利益が同9.9%増の58億円、そして配当予想は13年10月1日付の株式分割を考慮すると実質的に前期比2円50銭増配の年間30円(第2四半期末15円、期末15円)としている。   医療用医薬品事業では潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」の国内外での売上拡大が続き、コンシューマーヘルスケア事業ではテレビCM効果で認知度が一段と向上した「ヘパリーゼ群」の好調が牽引する。13年6月に販売開始した新薬の機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」は、アステラス製薬 <4503> と共同で早期の市場浸透を目指す。さらに原価率の改善や経費の効率的運用も寄与して、薬価改定の影響、ライセンス収入の減少、研究開発費や広告宣伝費の増加などを吸収する。会社予想は保守的な印象が強く上振れ余地があるだろう。   株価の動き(13年10月1日付で1株を1.1株に分割)を見ると、1月高値3170円から反落し、自己株式処分・売出しや全般地合い悪化が影響して調整局面となったが、3月の直近安値1969円から徐々に水準切り上げの動きを強めている。6月16日には2338円まで戻した。   6月16日の終値2300円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS109円19銭で算出)は21倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間30円で算出)は1.3%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS1105円78銭で算出)は2.1倍近辺である。日足チャートで見ると25日移動平均線、週足チャートで見ると52週移動平均線がサポートラインとなって、3月安値から徐々に水準を切り上げている。26週移動平均線を突破すれば上げ足に弾みがついて出直りの動きが本格化しそうだ。1月高値3170円を目指す展開だろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
医薬品メーカーのゼリア新薬工業<4559>(東1)の株価は、3月の直近安値1969円から徐々に水準を切り上げている。
economic
2014-06-17 09:45