リンテックは5月安値から切り返し、3月年初来高値目指す

  粘着製品大手のリンテック <7966> の株価は、5月の直近安値1813円から切り返して6月17日には1953円まで戻す場面があった。今期(15年3月期)増収増益・増配見通しを評価して出直り展開だろう。3月の年初来高値2070円を目指し、13年10月高値2157円も視野に入りそうだ。   高度な粘着応用技術と表面改質技術(粘着剤や表面コート剤の開発・配合・塗工技術)に強みを持ち、印刷材・産業工材関連(シール・ラベル用粘着フィルム、ウインドーフィルム、太陽電池用バックシート、自動車用・工業用特殊粘着製品など)、電子・光学関連(半導体製造用粘着テープ、タッチパネル用シート材、液晶用偏光・位相差フィルム粘着加工など)、洋紙・加工材関連(カラー封筒用紙、粘着製品用剥離紙・剥離フィルム、炭素繊維複合材料用工程紙など)の分野に幅広く事業展開している。   14年3月に発表した新中期経営計画「LIP-2016」では、重点テーマをグローバル展開のさらなる推進、次世代を担う革新的新製品の創出、強靭な企業体質への変革、戦略的M&Aの推進、人財の育成とした。目標数値としては17年3月期売上高2400億円、営業利益200億円、経常利益200億円、純利益130億円、売上高営業利益率8%以上、ROE(自己資本利益率)8%以上を掲げ、セグメント別目標数値は、印刷材・産業工材関連の売上高1025億円、営業利益57億円、電子・光学関連の売上高943億円、営業利益88億円、洋紙・加工材関連の売上高432億円、営業利益55億円としている。   次世代を担う革新的新製品の創出では、米テキサス大学ダラス校と共同開発してきたカーボンナノチューブ(CNT)を薄いシート状に加工する新技術の16年度中の実用化に向けて、米国テキサス州に研究開発拠点NSTCを設立した。従来手法に比べて100分の1から1万分の1という極めて薄いCNTシートを生成することが可能な技術で、電気自動車用蓄電装置の電極材料への活用などを想定している。   今期(15年3月期)の連結業績見通し(5月8日公表)は売上高が前期比3.3%増の2100億円、営業利益が同16.2%増の160億円、経常利益が同17.7%増の155億円、純利益が同23.5%増の105億円、配当予想は同2円増配の年間44円(第2四半期末22円、期末22円)としている。スマートフォン・タブレット関連の好調が牽引し、利益面ではプロダクトミックス改善やコスト削減なども寄与する。なお想定為替レートは1米ドル=98円としている。   セグメント別の計画を見ると、印刷材・産業工材関連は売上高が同5.6%増の911億円、営業利益が同70.3%増の39億円としている。自動車関連粘着製品の好調に加えて、前期は米国やアジアでやや低調だったウインドーフィルムの需要増加も寄与する。   電子・光学関連は売上高が同0.5%増の795億円、営業利益が同5.2%増の72億円としている。半導体製造装置関連が減少見込みだが、半導体関連や積層セラミックコンデンサー関連が好調に推移する。洋紙・加工材関連は売上高が同4.1%増の394億円、営業利益が同5.5%増の49億円としている。カラー封筒用紙で消費増税の反動がありそうだが、航空機向け炭素繊維複合材料用工程紙が好調のようだ。   株価の動きを見ると、3月の年初来高値2070円から反落し、全般地合い悪化が影響して水準を切り下げたが、5月21日の直近安値1813円から切り返しの展開となった。6月17日には1953円まで戻す場面があった。今期増収増益・増配見通しを評価する動きだろう。   6月17日の終値1942円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS145円57銭で算出)は13~14倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間44円で算出)は2.3%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS2100円87銭で算出)は0.9倍近辺である。   日足チャートで見ると25日移動平均線がサポートラインとなって下値を切り上げている。また週足チャートで見ると戻りを押さえていた26週移動平均線を突破した。強基調に転換したようだ。1倍割れ水準のPBRも支援材料であり、今期増収増益・増配見通しを評価して3月の年初来高値2070円を試す展開だろう。13年10月高値2157円も視野に入りそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
粘着製品大手のリンテック<7966>(東1)の株価は、5月の直近安値1813円から切り返して6月17日には1953円まで戻す場面があった。
economic
2014-06-18 09:00