【投資戦略2014】マネックス証券、注目は日銀の追加金融緩和策

  マネックス証券チーフ・ストラテジストの広木隆氏は、「アベノミクス相場」が2014年も続くと想定。しかし、日銀の追加金融緩和の内容次第では、失望売りから4月前後に株価急落局面が到来し、日経平均株価は1万3000円前後まで調整する可能性もあると言及する。ただし、メインシナリオとしては、大胆な日銀の追加金融緩和策により株価が急騰、年後半の日経平均は1万8000円から2万円のレンジで推移すると見通している。 ――2014年の株式市場はどう動くのか?   2013年は「アベノミクス相場」が特徴でした。2012年後半の衆院解散、自民党の政権奪取、阿部首相による「アベノミクス」政策により、円安・株高が導かれた1年でした。   ただし、今回の株高は「アベノミクス」だけが要因ではありません。国内政策と、グローバルの景気回復がカップリングして大幅な株価回復が実現したと見ています。「アベノミクス」政策のなかで、一番効果があったのが金融緩和策であり、円安が企業業績を改善させ、株価を押し上げました。ただし、これも今の時点では、2013年は円安による為替差益が寄与しましたが、「価格競争力の改善」までは達していません。今後は世界の改善とともに、輸出が拡大し、さらに日本企業の業績は改善していくと見込まれます。これはOECDの予測においても指摘されており、「2014年は先進国を中心に景気が回復する」と指摘しています。   海外を見ると、12月のFOMCで米国の出口戦略が発表されましたが、なぜ金融緩和を縮小するのかといえば、それは米国経済が立ち直ってきているからです。欧州も債務危機の最悪期は過ぎて回復に向かっています。新興国経済は懸念がありますが、中国は経済指標が改善し、巡航速度に戻りつつあります。 ――日経平均の値動きとレンジは?   来期業績から日経平均の適正水準を予想すると、来期は世界景気や円安の加速があれば、2割増益もあると考えます。これらを織り込むと、日経平均銘柄の1株当たり利益は今期が1000円程度、来期は1200円程度に拡大します。PERの適正レンジが15倍-17倍程度とすると、日経平均はPER15倍の1万8000円が妥当な水準で、17倍なら2万円も十分に達成可能な水準となります。   とはいえ、波乱材料はあります。それは、日銀の追加金融緩和です。ほとんどの相場関係者が2014年の前半に追加金融緩和が実施されると見ていますので、何らかの政策が打ち出されると考えますが、インパクトがなく「踏み込み不足」と受け止められれば、失望売りで株価が急落することもありそうです。その場合、春先に株価はピークをつけ4月前後に急落。日経平均は1万3000円近くまで調整することは十分にあると考えています。   このシナリオの実現する確率は3割程度と見ています。では、メインシナリオはどうなるのかというと、日銀が大々的な量的緩和第二弾を打ち出し、株価が急騰するシナリオです。ETFの大々的な買い入れを含む金融緩和策を打ち出すことで、株価は春先、夏場にかけてジリジリと上昇。順当に追加緩和があれば、2万円の目標達成も考えられ、その後は1万8000円から2万円のレンジでのもみあいとなることが想定できます。   ただし、4月急落のシナリオでも、日銀がマーケットとの対話に失敗したとの見方で、その後に政策催促相場が出てきます。結果としてプレッシャーが強まり、秋に日銀がもっと大々的な金融緩和策を打ち出さざるを得なくなる。そのため、春に調整しても秋にリカバリーされ、結果的にはメインシナリオに近い水準までの株価上昇が見込まれるでしょう。 ――株価テーマとしての注目は?   まず、グローバル景気の回復で、自動車、機械、電気の一角。素材なら鉄鋼や化学セクターが好調となるでしょう。また、海運なども選好されると見ています。もうひとつは、デフレ脱却が視野に入るのであれば、不動産関連銘柄が物色される可能性が高くなりますし、金融セクターも大きくクローズアップされると考えます。   もうひとつ、賃金が上がる展開となれば、市民の消費意欲が回復し、モノが売れるようになる。小売関連株の業績が改善し、株価も買われるでしょう。また、企業の設備投資につながれば、機械セクターなども伸びてくると思われます。(編集担当:片岡利文)
マネックス証券チーフ・ストラテジストの広木隆氏は、「アベノミクス相場」が2014年も続くと想定。しかし、日銀の追加金融緩和の内容次第では、失望売りから4月前後に株価急落局面が到来し、日経平均株価は1万3000円前後まで調整する可能性もあると言及する。(写真は、広木隆氏。サーチナ撮影)
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2013-12-27 11:30