モーニングスター、異次元緩和後の運用がテーマのカンファレンスで究極の分散を提案

 モーニングスターは2014年6月21日、東京国際フォーラムで「モーニングスターカンファレンス2014 ―世界で活躍する運用力に迫る―」を開催した。同社代表取締役社長の朝倉智也氏(写真)が「異次元緩和後の資産運用の考え方」と題して基調講演を行った。そして、インベスコ・アセット・マネジメントの得能修氏が日本中小型株の魅力について、また、フィデリティ投信の太田創氏が欧州中小型株の魅力について解説した。  モーニングスターの朝倉氏は、2013年4月に始まった日銀の「異次元緩和」後の世界の金融市場の概要について、様々なデータを提示して説明した。そして、2014年の半ばを迎えた現状について、「米国や欧州の株価が史上最高値に上昇しているものの、日米独といった主要国の長期金利が低下傾向にある、また、米国の債券の売買高や日本株の日々の出来高が低下傾向にある。さらに、恐怖指数(VIX指数)が史上最低の水準に落ち込んでいるなど、世界の市場の先行きを展望する上で、何か気持ちが悪い、大きな変化のマグマが溜まっているような兆候が見える」と、注意を促した。  そして、「インターネット・バブルの崩壊」(2001年)、「サブプライムショック」(2007年)、「リーマンショック」(2008年)、「アラブの春」(2010年)、「欧州債務危機」(2011年)など、世界中を揺るがすようなイベントリスクが頻発している状況を紹介。「今後、量的緩和の縮小による衝撃が、近い将来にやってくる可能性がある」と語った。  このような市場環境について朝倉氏は、「資産の保全のために、分散投資で運用する環境にある」と解説。「1つの投資資産にベットする(賭ける)ことはリスクが大きいので、限りなく分散して投資することを考えるようにしたい」と、運用に対する基本的な姿勢を説いた。  その分散投資の具体的なアイデアとして、「日本人は公的年金の運用、また、預貯金や個人保険への加入によって、国内債券にかなり多くの投資をしている。したがって、自ら資産運用を考える際には、国内債券への投資を除いて、日本株や世界の債券・株式に投資するポートフォリオを考えるようにしたい」と強調した。世界の市場への分散には、エマージング市場に加え、フロンティア市場にも投資の目を向けておきたいと述べている。  朝倉氏が分散投資をすすめる理由にあげていたのは、先行きの市場を見通すことが難しくなっているという市況環境に加え、「資産運用の成果は、感情に大きく左右される傾向があるため、冷静、かつ、合理的な対応をするためには、資産と時間を分散し、できる限り買いコストを意識しない投資を行うことが重要」ということだった。(取材・編集担当:徳永浩)
モーニングスターは2014年6月21日、東京国際フォーラムで「モーニングスターカンファレンス2014 ―世界で活躍する運用力に迫る―」を開催した。(写真は「モーニングスターカンファレンス2014」で基調講演を行う朝倉智也氏。サーチナ撮影)
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2014-06-21 17:00