中小型成長株の魅力に迫る、インベスコとフィデリティが特別講演

モーニングスターが2014年6月21日に東京国際フォーラムで開催した「モーニングスターカンファレンス2014」で、インベスコ・アセット・マネジメントの日本株式運用部グロース運用チーフ・ポートフォリオ・マネジャーの得能修氏(写真:左)と、フィデリティ投信の商品マーケティング部長の太田創氏(写真:右)が特別講演を行って中小型株投資の魅力について解説した。
インベスコ・アセットの得能氏は、「日本株式市場の展望と成長株投資のすゝめ」をテーマに講演した。2014年になってから、日本株式市場の足取りが重いことについて「(1)日銀への過度な期待が足かせになっている、(2)前年度に30%-40%という高い成長を示した企業収益が、今年度は10%程度と低く予想され、実際に企業が発表した決算見通しでは2%成長予測という慎重な見方になってしまった」という見方を示した。
一方で、「実際にファンドの運用者として企業経営者の方々と話をしていると、経営者のマインドがここ数年来になく元気に変わってきていることに気がつく。足元の環境は、株式市場の動きよりもずっと良い」と語った。その前向きに考えられる理由として、(1)企業に先行投資の意欲が見える、(2)前向きな投資のための公募増資に踏み切る企業が増えている――という事象を取り上げていた。
その上で、「中小型株には業績の伸びが、まだ株価に織り込まれていない。JASDAQ市場では昨年の株価上昇後でも企業業績が伸びてきているためPERの水準が過去の大まかなレンジ(15倍-33倍)の中で下限といえる割安な水準に置かれている」と、日本株の中でも中小型の成長企業に、今後の活躍が期待される銘柄が多いと語っていた。
フィデリティ投信の太田氏は、「必聴! ほとんどの日本人が知らない欧州中小型株投資の魅力!」をテーマに講演した。欧州経済が2013年マイナス成長から2014年以降は、「回復」から「成長」へと向かう予想にあることに注目し、「経済成長がマイナスからプラスに転じる時が、株価の変化率も最も大きく出やすい」と、世界の市場の中で欧州市場のポジションの良さを解説した。
また、「南欧を中心に欧州各国の国債利回りが大幅に低下し、財政問題がクローズアップされた局面は終了した」と語り、「2014年6月には10年国債利回りがイタリア、スペインでもアメリカと同じくらいの水準に低下している」と指摘した。その上で、米国や世界平均に対して、欧州株の予想PER(米国15.7倍、世界14.8倍、欧州14.1倍、日本12.8倍)、PBR(米国2.7倍、世界2.1倍、欧州1.8倍、日本1.2倍)、配当利回り(米国・日本2.0%、世界2.5%、欧州3.2%)などが、出遅れ・割安になっていると語った。
さらに、欧州市場では中小型株の年間騰落率は大型株を上回る推移を示してきたこと、また、中小型株の予想EPSが大型株を凌駕していることなどから、中小型株の魅力を強調した。そして、米国や日本などを上回る大きな経済圏をホームグラウンドにする欧州企業の優位性を指摘。インディテックス(スペインの小売業)、アメアスポーツ(フィンランドのスポーツ用品・機器メーカー)など、欧州から世界企業へと脱皮した企業について具体的に紹介しながら、欧州中小型株の魅力について語った。(取材:編集担当:徳永浩)
「モーニングスターカンファレンス2014」で、インベスコ・アセット・マネジメントの日本株式運用部グロース運用チーフ・ポートフォリオ・マネジャーの得能修氏(写真:左)と、フィデリティ投信の商品マーケティング部長の太田創氏(写真:右)が中小型株投資の魅力について解説した。
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2014-06-21 18:00