【投資戦略2014】カブドットコム証券、年内に日経平均2万円も

カブドットコム証券チーフストラテジストの河合達憲氏は、2014年は1-3月と4-6月で大きく相場環境が変わると予想。4月以降に日本株は調整局面入りするものの、その後はジリジリと株価が回復し、年末にかけて日経平均株価は高値を付けると予想する。ポイントは消費増税や、米国の金融緩和縮小、そして「アベノミクス第2幕」とみている。
――2014年の相場の見通しは。
2014年は特殊な年になります。というのも、消費増税が4月1日にスタートするため、1-3月と4-6月で投資環境がガラリと変わるからです。1-3月は2013年から続く駆け込み需要で、特需が発生する。特に、自動車や不動産、高額消費関連は好調が続きます。当然ながら、株式市場もこれを好感して上昇が続くでしょう。一方、4月以降が反動減に見舞われます。景気指標も落ち込むこととなり、マーケットも売りが強まる可能性は非常に高いと考えられます。
バリュエーションで見ると、日経平均の1株当たり利益は今期予想で1000円程度。PER15倍を最低ラインで考えれば、1万5000円程度となる。ロジック的にはこのあたりが下値と考えられます。業績の上乗せも有り得ますし、3月までにPER18倍の水準である1万8000円程度までの上昇は十分想定できます。
ここから、4月以降の調整局面に入るわけですが、もうひとつ、気にすべき外的要因があります。米国の金融緩和縮小です。米国では過去3回の金融緩和で株価は大きく上昇しましたが、緩和終了時には、QE1、QE2で株価が14%から17%程度下落しています。 今回のQE3は2014年の1-3月または4-6月での終了を目指すと見られるため、同様の米国株調整があれば、日本株にも影響が懸念されます。
ただし、米国金融当局は、過去のような相場のミスリードはしないとにらんでいます。下落幅も限定的となる可能性が高い。ですので、注目は米国株よりも為替動向となります。為替は米国の金融緩和がなくなるので円が下落しやすくなり、1ドル=115円前後までの円安は十分にありうる水準となります。結果、日本株で見れば、輸出企業は今期よりも大幅な強気な業績予想を打ち出せますし、かなりの追い風が吹くと予想されます。
日経平均の底打ちは5-6月となり、下値はやはりバリュエーションから見た1万5000円程度と考えています。ただし、上記の為替の円安進行に加え、国内の景気拡大もあり、すぐに株価は回復局面に転じるでしょう。というのも、国内の公共投資が拡大を続けており、14年5月に速報値が発表される1-3月期はさらに増加していくと考えられます。これにより、相場の悲観論が一掃され、まさに「アベノミクス第2幕」が回帰。民需にも好景気が伝わり、再度消費が拡大していくと思われます。
その後は、来期のバリュエーションをもとにした高値追いが始まります。 日経平均の1株当たり利益は来期、1100円から1150円程度となれば、年末に向けてPER19倍で日経平均2万円があっても何ら不思議はありません。
――注目するテーマや銘柄は何になりますが。
官主導による「アベノミクス第2幕」の効果を考えれば、インフラ関連のゼネコン株や道路株、橋梁株などに目が行きますが、これらの銘柄への投資は注意が必要です。というのも、人件費と資材の高騰が長い間続いており、今後も継続しそうなため、業績を圧迫することが考えられます。東京オリンピックによる特需も見込まれますが、収益が一気に潤う段階にはないと予想します。
その分、インフラ投資の周辺銘柄に注目すべきでしょう。例えば、資材価格が上昇しているのですから建材商社は恩恵を受けるでしょうし、大手商社へもプラスに寄与するはずです。また、 軽作業の人材派遣業はしっかりと利益を上げてくるはず。ゼネコンの業績が伸び悩む中で、これらの業種は確実な業績拡大が狙えると見ています。
また、2013年前半で考えれば、想定為替レートにも注目です。TDK <6762> や富士通 <6702> は今期の想定為替レートが90円(TDK)や93円(富士通)であり、期初予想を据え置いています。円高が進行している今、これらは上方修正材料になる。逆に、すでに100円程度まで想定レートを変更、さらに業績を下方修正済である企業には、さらなる業績下振れ余地があると考えることもできます。各銘柄の想定レートを改めて確認しておくべきでしょう。
――日本株へのリスク面を挙げるとすれば。
リスク面は、やはり欧州と中国の景気動向でしょう。過去数年の米国危機は、ほとんどが欧州問題が原因でした。現状は落ちついていますが、警戒は怠らないほうがいいでしょう。
中国の場合は、常に政治リスクや地政学的リスクに注意しなけれないけません。とはいっても、中国の場合は内情がすべて海外に伝わってくるわけではありませんので、株価水準をひとつの目安にすることをオススメします。上海総合指数が2000ポイントを割り込んだら「危機ゾーン」であると計測しておけばいいと思います。(編集担当:片岡利文)
カブドットコム証券チーフストラテジストの河合達憲氏は、2014年は1-3月と4-6月で大きく相場環境が変わると予想。4月以降に日本株は調整局面入りするものの、その後はジリジリと株価が回復し、年末にかけて日経平均株価は高値を付けると予想する。(写真は、河合達憲氏。サーチナ撮影)
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2013-12-27 14:00