【投資戦略2014】松井証券、相場テーマは「LINE関連」に注目

  松井証券シニアマーケットアナリストの窪田朋一郎氏は、年前半は「日米経済回復への期待」から外国人投資家の資金が流入、日経平均株価は2万円を超えると予想。ただし、その後は新興国リスクが発生し、一時的な調整局面に入る可能性が高いと指摘する。また、相場テーマとしては「LINE関連」に注目すべきだとアドバイスしている。 ――2014年相場のポイントについて教えて下さい。   2014年は、米国の量的緩和の縮小をめぐる綱引きが大きなテーマになると見ています。今後量的緩和のさらなる縮小が続くと、過去の米国における金融引き締め局面と同様に、新興国においてダメージを受ける国が出てくるのではないでしょうか。直近ではインドネシアのルピアなどが軟調ですが、経常赤字が継続している国においては投資家が資金を引き上げ、結果として通貨ショックに近い状態になる可能性があります。   しかし、これらのリスク要素を考慮に入れても、日本では日米の金利差拡大から円安が進みやすいため、日本株には外国人の買いが入りやすいと考えます。 ――日本株はどのような動きをみせるでしょうか。   基本的には2014年も株高が続くと考えます。年初は1万5500円程度でスタートし、4月か5月頃までは外国人投資家の資金が流入、株高は続きそうです。ピークでは、日経平均で2万1000円程度をつける事も十分に考えられます。為替が1ドル=115円程度まで下落した場合、ドルベースでは20%程度の上昇でこの水準まで達する計算になります。円建てでは大幅な上昇となりますが、ドル建てで見る外国人投資家には余力のある上昇と映るはずです。   しかしながら、その後米国での量的緩和の終了が見えてくるような頃には、新興国市場から資金を引き揚げる動きが強まる可能性があり、その余波を受けて日本株も調整局面に入るでしょう。   4月からスタートする消費増税の影響については、過去の2度の増税時も、そのタイミングでは日本株は影響を受けておらず、むしろ上昇を続けています。すでに株式市場は織り込み済と考えるべきでしょう。   調整幅ですが、夏場にかけて1万7000円程度までの下落が考えられます。円相場についても、世界的なリスクオフの流れが強まる局面や原発再稼動など貿易収支を改善させる政策も動き出す可能性もあり、一時的に円が買い戻される局面もありそうです。また、円安が過度に進行する場合には、小売り企業などには原価高となり、業績の悪影響が強まる企業も出てきます。生活者も物価の上昇などを身近に感じ、“脱デフレ”に対する警戒感を持つようになるかもしれません。   ただし、調整後の年後半は、日本の景気回復が緩やかに進み、株価も徐々に回復すると見ています。多少の揺り戻しはあるでしょうが、年末には再度2万円台に乗せている可能性もあります。 ――注目すべきテーマや業種について。   個人投資家の人気という点で、注目したいのは「LINE」関連銘柄です。2013年もLINE関連株の急騰局面がありましたが、LINEのように日本発で世界に普及しているアプリは他にありません。個人投資家も多く使っており、なじみの深いテーマのため、個人の人気を集めやすいテーマと考えられます。   LINEは2014年夏に新規上場するとのウワサがあります。そのため、実際の上場まで、折に触れてLINE関連株が物色される展開が見込まれます。アドウェイズ <2489> のようにすでに急騰した銘柄にも注目ですが、まだ新たな関連銘柄が浮上する可能性があるだけに、目を離せません。   また、円安の進行で、先進国での売上比率が高い企業にも注目したいところです。たとえば、マツダ <7261> は日本で生産して欧米などで自動車を販売しており、今後の円安進行のメリットを大きく受けます。トヨタ自動車 <7203> も円安メリットを受ける企業ですが、新興国の比率も高いため、円安のメリットが相殺される可能性があることには注意が必要です。自動車だけでなく、たとえばシェールガス関連とされる日揮 <1963> や電子部品の村田製作所 <6981> のように米国経済の回復に乗れる輸出銘柄は、期待できます。   そのほかでは、個人投資家の流入により新興市場が活発化することで、引き続きIPO(新規公開株)のブームが続くのではないかと見ています。IPO銘柄としては、やはりネット関連株のIPOには人気が集まりやすいですが、初値が高すぎた銘柄では、その後に株価が調整するケースもあるので注意が必要です。   もうひとつ、注目なのは日経平均レバレッジ型のETFです。NISA口座を開設し、新たに投資を始めた人が、なじみのない銘柄を買うには若干リスクがあります。値動きがつかみやすい日経平均連動型のETF、なかでも値動きが2倍になるように設計された日経平均レバレッジ型のETFは、わかりやすくそれなりに値動きもある投資先として注目しておくべきでしょう。(編集担当:片岡利文)
松井証券シニアマーケットアナリストの窪田朋一郎氏は、年前半は「日米経済回復への期待」から外国人投資家の資金が流入、日経平均株価は2万円を超えると予想。ただし、その後は新興国リスクが発生し、一時的な調整局面に入る可能性が高いと指摘する。(写真は、窪田朋一郎氏。サーチナ撮影)
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2013-12-27 14:45