シェールガス開発を巡りシノペックと21世紀経済報道が舌戦

 中国初のシェールガスの大規模商用開発を達成したとして注目されている中国石油化学(シノペック)の「フ陵シェールガス田」(重慶市フ陵区)を巡り、21世紀経済報道とシノペックが舌戦を繰り広げている。  発端は21世紀経済報道の18日の記事「シノペックのフ陵プロジェクトに疑問:シェールガス名目で巨額の補助金を獲得か」。同紙は、フ陵シェールガス田の開発に関して、産出ガスの半分はシェールガスではなく天然ガスではないか、探査期間が短いのに大量のシェールガスが賦存と発表したのは時期尚早、開発コストが高すぎる、シェールガスの名目で巨額の補助金を得ようとしているのではないかなどの疑問を専門家や同業他社のコメントを紹介する形で掲載した。  このバッシング記事に対し、シノペックは同日、オフィシャルブログ上で即座に反論。その後も複数のメディアに登場し、開発の正当性を主張し続けている。  中国のシェールガス開発を巡っては、国際エネルギー機関(IEA)が2011年6月に発表したレポートで、技術的に回収可能なシェールガス資源量では世界一(1115兆立方フィート)と評価し、開発機運が一気に高まった。  しかし、その後の開発状況は芳しくなく、2015年の国家生産目標65億立方メートルの達成は厳しいと見られていたが、2014年に入り、シノペックと中国石油天然気(ペトロチャイナ)が相次いで開発強化方針を公表したため、目標達成の可能性が高まっている。  シノペックの傅成玉会長は2014年3月24日、試験生産を実施してきたフ陵シェールガス田が大規模商用開発段階に入ったと発表。同シェールガス田の生産能力は2014年末に18億立方メートル、2015年末に50億立方メートル、2017年には100億立方メートルに達するとした。シノペックはこれまで、2015年の生産能力を17億立方メートルとしており、生産目標を大幅に引き上げた。  一方、ペトロチャイナの孫龍徳副総裁は、2014年4月21日、自社のシェールガス生産量は2015年に26億立方メートルに達する見込みであると発表した。ペトロチャイナはタイトガス開発には重点投資してきたが、シェールガス開発にはあまり積極的ではないと見られていただけに、シェールガス開発分野での取り組みを強化する姿勢を示したことが注目されている。  なお、ペトロチャイナのシェールガス開発は、現在、主に四川盆地南部で実施されているが、今年5月には重慶市政府、国家開発投資公司、中国中化股フェン有限公司とシェールガス開発企業の共同設立で合意しており、今後はシノペックが開発を進める重慶での開発を強化する。このため、重慶は中国2大石油大手のシェールガス開発の「主戦場」になるのではないかとの見方が広がっている。このように開発競争激化の兆しがある中、今回のバッシング記事が掲載された背景に関して様々な憶測が飛び交っている。(編集担当:金糸猴)
中国初のシェールガスの大規模商用開発を達成したとして注目されている中国石油化学(シノペック)の「フ陵シェールガス田」(重慶市フ陵区)を巡り、21世紀経済報道がとシノペックが舌戦を繰り広げている。
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2014-06-25 08:00