アマダが突っ込み買いで第2ラウンド相場に再発進すれば7月の単元株変更株に新テーマ株人気=浅妻昭治
<マーケットセンサー>
Win-Win(ウイン-ウイン・双方勝ち)の関係か、Win-Lose(ウイン-ロス・片方勝ち-片方負け)の関係か、大いに悩ましい。主力株と新興市場株との株価動向である。主力株が、動意付くと途端に新興市場株には乗り換えの売り物が先行して、新興市場株の株価は上げた以上に急落する。一方、主力株と動きが止まると、鳴りを潜めていた新興市場株に買い物が優勢となり、値幅取りの動きが再び活発化する。
投資家とすれば、Win-Winの全面高相場なら何の苦労もないが、Win-Loseでは主力株、新興市場株のどちらをセレクトするかでパフォーマンスは、「天国と地獄」ほどに大きく異なるだけに思案のしどころとなる。とくに主力株は、きょう24日にも発表されると観測されている「アベノミクス」の追加成長戦略も巡って海外勢の評価次第で、株価の上ぶれも下ぶれも予想されているだけに、連立方程式を解くような難しさがある。
もっとも仮にWin-Lose相場であっても、乗り換えた主力株、新興市場株が順調に上値を追い回転が効くようなら、循環相場として相場全般には悪いことではない。乗り換えた先の銘柄が、案に相違して回転を止めシコッてしまわないことを願うばかりである。中心銘柄などなくても、「つなぎ銘柄」の「つなぎ銘柄」、さらにその「つなぎ銘柄」と物色のバラエティを増やしていけば、まさに実質的なWin-Win相場が期待できるはずである。
この「つなぎ銘柄」の「つなぎ銘柄」として注目したいのが、株主の利益還元策に前向きな積極的な資本政策株である。この代表株は、いわず知れたアマダ <6113> だ。同社は、上場会社の常として利益の最大化を目指しているが、その一方で純資産額の増加を抑制するために、これまで30~50%程度としてきた配当性向の目標を50%程度にアップさせるとともに、純利益の50%をメドに自己株式を取得すると発表したからだ。
この結果、今3月期の配当は、年間26円(前期実績20円)に連続増配し、1400万株(発行済み株式総数の3.5%)、取得総額100億円を上限に自己株式取得を実施、1000万株(同2.5%)の金庫株の消却も6月30日に予定している。当然、証券会社の覚えも目出度くなって内外証券が揃って投資判断と目標株価を引き上げ、株価も窓を開けて急騰した。新興市場株は、ミクシィ <2121> (東マ)をリード役にゲーム株、LINE関連株、ロボット関連株などが次々と人気化し、有力なテーマ株として買い物を集めたが、利益還元株もこれに勝るとも劣らないテーマ株人気を享受した。もっともアマダは、前週末20日にこのうち自己株式取得を964万8000株、取得総額99億9984万円で完了したと発表、株価は、再び1000円台を確認する調整となった。
しかし、そのアマダに第2ラウンド相場が、加速するかもしれないわずかな兆しがあるのである。増配、自己株式取得・消却と同時に発表した7月1日を効力発生日とする単元株式数の1000株から100株への変更である。個人投資家が手掛けやすくなって値付きが好転、流動性が向上してボラティリティ(株価変動率)が高まるとして、突っ込み買いが再燃することも想定されるためだ。
アマダが、第2ラウンド相場に発進するようなら、7月1日にアマダと同様に単元株式数を100株に変更する銘柄にも、循環相場の「つなぎ銘柄」として、5月相場で人気化した利益還元銘柄と同様に投資妙味セクターとして脚光が当たる可能性がある。7月1日の単元株式数を変更する銘柄は17銘柄あるが、これを前に先取りして損はないことになり、そのなかから業績動向も勘案して厳選すれば、「第2のアマダ」がゲットできるはずである。(執筆者:浅妻昭治 株式評論家・日本インタビュ新聞 編集長)
Win-Win(ウイン-ウイン・双方勝ち)の関係か、Win-Lose(ウイン-ロス・片方勝ち-片方負け)の関係か、大いに悩ましい。
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2014-06-24 09:45