生化学工業は5月安値で底打ち、強基調に転換して出直り
関節機能改善剤アルツが主力の生化学工業 <4548> の株価は、今期(15年3月期)減収減益見通しも嫌気して5月22日の安値1111円まで調整する場面があった。しかしその後は下げ渋る展開となり、6月24日には終値で1200円台まで戻している。売り一巡して5月安値で底打ちしたようだ。強基調に転換して出直り展開だろう。
国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け関節機能改善剤スパルツ、米国向け単回投与関節機能改善剤ジェル・ワン、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、およびLAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。高齢者人口増加を背景にアルツおよびジェル・ワンの需要拡大が期待される。
12年8月に当社が勝訴したジェル・ワン特許侵害訴訟に関しては、米ジェンザイム社が13年10月に提起した連邦巡回区控訴裁判所への控訴を取り下げたため、当社および米ジンマー社(米国におけるジェル・ワンの独占販売代理店)の勝訴が確定した。
09年3月策定の「生化学工業10年ビジョン」に基づいて、研究開発は糖質科学分野に焦点を絞り、医療ニーズが高い新製品の上市を目指している。開発中の新薬としては、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI-6603(コンドリアーゼ)、アルツの腱・靭帯付着部症の適応症追加SI-657、変形性膝関節症改善剤SI-613、ドライアイ治療剤SI-614、関節リウマチ治療剤SI-615などがある。
SI-6603については、14年1月に国内で製造販売承認申請した。米国では実施中の第Ⅲ相臨床試験の進捗に注力する。14年5月には、ドライアイを適応症とする点眼剤SI-614の米国における第Ⅱ・Ⅲ相臨床試験を開始している。
今期(15年3月期)連結業績見通し(5月13日公表)は売上高が前期比1.6%減の291億50百万円、営業利益が同44.3%減の27億50百万円、経常利益が同28.5%減の42億円、純利益が同27.3%減の34億50百万円で、配当予想は前期と同額の年間26円(第2四半期末13円、期末13円)としている。
売上面では、米国向け関節機能改善剤ジェル・ワンや中国向けアルツの数量は順調に増加するが、一方で国内は、関節機能改善剤アルツの市場全体がやや伸び悩み傾向であり、薬価改定も影響する。また米国向け関節機能改善剤スパルツは、前期の販売提携先での在庫積み増しの反動影響を受けるようだ。全体として減収見込みとしている。
利益面では、営業外収益で受取ロイヤリティーが増加するが、新生産設備稼働に伴う減価償却費の増加、研究開発費の増加、販売関連費用の増加などで減益見込みとしている。研究開発費は同10.8%増の73億円の計画で、想定為替レートは1米ドル=102円としている。
株価の動きを見ると、1月高値1641円から反落して調整局面となり、今期減収減益見通しも嫌気して5月22日には年初来安値となる1111円まで調整する場面があった。しかしその後は下げ渋る展開となり、6月24日には終値で1200円台まで戻している。1100円台で下値固めが完了したようだ。
6月24日の終値1206円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS60円73銭で算出)は20倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間26円で算出)は2.2%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS1140円48銭で算出)は1.1倍近辺である。日足チャートで見ると25日移動平均線を突破して上伸した。また週足チャートで見ると13週移動平均線突破の動きを強めている。5月安値で底打ちした形であり、強基調に転換して出直り展開だろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
関節機能改善剤アルツが主力の生化学工業<4548>(東1)の株価は、今期(15年3月期)減収減益見通しも嫌気して5月22日の安値1111円まで調整する場面があった。
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2014-06-25 09:15