テラは5月安値で底打ちして強基調に転換、出直り本格化
バイオベンチャーのテラ <2191> (JQS)の株価は、5月21日の年初来安値978円から切り返しの展開となり、6月18日の1980円まで急伸した。目先的な過熱感で足元は上げ一服の形だが、大きく調整する動きは見られない。6月24日は前日比116円高の1914円まで上伸する場面があった。再動意の構えのようだ。5月安値で底打ちして強基調に転換した形であり、中期成長力を評価して出直りの動きが本格化しそうだ。
東京大学医科学研究所発のバイオベンチャーで、細胞医療事業(樹状細胞ワクチン「パクセル」を中心とした独自開発のがん治療技術を契約医療機関に提供)を主力に、医療支援事業(研究機関・医療機関から受託する細胞加工施設の運営・保守管理サービス、細胞培養関連装置の販売、治験支援サービス)、および医薬品事業(樹状細胞ワクチン「パクセル」の薬事承認取得に向けた開発活動)を展開している。
細胞医療事業は症例数に応じた収入が収益柱で、13年12月末時点で契約医療機関数は全国33カ所、契約医療機関における累計症例数は約7600症例に達している。14年1月に白山通りクリニック(東京都江東区)、14年3月に東京銀座シンタニ歯科口腔外科クリニックと連携契約を締結して、契約医療機関数は全国35カ所となった。
成長に向けた戦略も加速している。13年4月iPS細胞による再生医療実用化を目指すヘリオスに出資、13年5月がん新薬を中心とした治験支援事業に参入するため子会社タイタンを設立、13年7月「免疫制御性樹状細胞の調整法およびその用途」に関する独占的実施権を取得、アンジェスMG <4563> と子宮頸がんの前がん病変治療ワクチンの共同研究・開発の基本契約を締結、13年10月北里研究所と共同で肝細胞がんに対する樹状細胞ワクチン療法の第Ⅰ相臨床試験を開始、13年12月iPS細胞を利用したがん免疫細胞療法の開発に向けてヘリオスと業務提携した。
そして14年1月樹状細胞ワクチン「バクセル」の膵がんにおける再生医療等製品としての薬事承認取得を目指して子会社テラファーマを設立、14年2月ゲノム診断支援事業に向けてゲノム解析ソフトウェア開発のジナリスと合弁子会社ジェノサイファーを設立、14年4月組織培養用培地のパイオニアであるコージンバイオに5.6%出資して資本業務提携した。
6月11日には、東京女子医科大学において悪性リンパ腫に対するNK細胞療法の第Ⅰ・Ⅱ相臨床試験を開始すると発表した。本臨床試験は当社が11年6月に特許出願したNK細胞培養に関する新規技術を用いるとしている。
6月16日には、次世代がん抗原MAGE-A4ペプチドについて、北海道大学との間で09年3月に全世界を対象とする専用実施権設定契約を締結しているが、北海道大学が出願したMAGE-A4ペプチドに係る特許が日本で成立し、専用実施権の設定が完了したと発表している。北海道大学はMAGE-A4ペプチドに関して諸外国における特許を出願しており、米国において特許が成立している。今後臨床研究を実施して早期の実用化を目指す方針だ。
また6月16日には、新規がん抗原であるサーバイビンペプチドについて、バイオイミュランスとの間で11年6月に9地域を対象とする樹状細胞ワクチン「バクセル」に用いる専用実施権設定契約を締結しているが、バイオイミュランスが出願したサーバイビンペプチドに係る特許が日本とオーストラリアで成立し、日本で専用実施権の設定が完了したと発表している。今後臨床研究を実施して早期の実用化を目指す方針だ。
今期(14年12月期)連結業績見通しは前回予想(2月7日公表)を据え置いて売上高が前期比35.7%増の20億90百万円、営業利益が1億35百万円の赤字(前期は23百万円の黒字)、経常利益が1億56百万円の赤字(同24百万円の赤字)、純利益が1億54百万円の赤字(同58百万円の赤字)としている。
樹状細胞ワクチン「バクセル」の薬事承認取得に向けた研究開発費増加などで営業損益が悪化する見込みだ。しかし売上高は症例数増加や業容拡大などで増収見込みとしている。樹状細胞ワクチン「バクセル」薬事承認取得に向けた開発を加速させており、中期成長に対する期待感が高まる。
株価の動きを見ると、5月21日の年初来安値978円から切り返しの展開となり、NK細胞療法の第Ⅰ・Ⅱ相臨床試験開始、MAGE-A4ペプチドとサーバイビンペプチドの特許成立なども好感して、6月18日の1980円まで急伸した。目先的な過熱感を強めて足元は上げ一服の形だが、大きく調整する動きは見られない。6月24日には前日比116円高の1914円まで上伸する場面があった。再動意の構えのようだ。
6月24日の終値は1885円だった。日足チャートで見ると25日移動平均線に対するプラス乖離率が約30%と目先的な過熱感を残しているが、週足チャートで見ると26週移動平均線を突破してきた。5月安値で底打ちして強基調に転換した形であり、中期成長力を評価して出直りの動きが本格化しそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
バイオベンチャーのテラ<2191>(JQS)の株価は、5月21日の年初来安値978円から切り返しの展開となり、6月18日の1980円まで急伸した。
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2014-06-25 09:15