山下医科器械はやや上値重いが、強基調に転換した流れに変化なし

  医療機器商社の山下医科器械 <3022> の株価は、前期(14年5月期)業績・配当の増額修正を好感して、5月19日に戻り高値2120円まで急伸する場面があった。その後はやや上値が重く概ね1800円近辺の小幅レンジで推移しているが、3月安値1465円で底打ちして強基調に転換した流れに変化はないだろう。指標面の割安感も支援材料だ。   九州を地盤とする医療機器商社である。医療機器の販売・メンテナンス、医療材料・消耗品などの販売を主力として、子会社イーピーメディックは整形インプラントを製造販売している。   中期成長に向けて、九州最大の需要地である福岡県での市場シェア拡大を最重点戦略としている。医療機関向けSPD(病院医療材料管理業務)の契約施設数増加に対応するため、13年7月に福岡SPDセンター(福岡県福岡市)を新設し、鳥栖SPDセンター(佐賀県鳥栖市)との2拠点体制とした。   13年12月に判明した従業員による不正行為に関して、14年2月28日に独立行政法人国立病院機構から指名停止(14年2月28日~14年11月27日)および一般競争参加資格降格(14年11月28日~15年8月27日)の処分を受けた。当該処分の対象となる施設の前々期(13年5月期)売上高は全社売上高の1割強としている。   そして今回の不正行為の再発防止策に関して、4月17日に「再発防止策実施状況(その1)」、5月16日に「再発防止策実施状況(その2)」、6月13日に「再発防止策実施状況(その3)」を発表している。再発防止と信頼回復に向けて、実施状況については今後も随時報告する方針だ。   前期(14年5月期)の連結業績見通し(5月16日に売上高・利益とも増額修正)は、売上高が前々期比8.1%増の509億28百万円、営業利益が同53.0%増の8億08百万円、経常利益が同32.9%増の7億88百万円、純利益が同57.3%増の5億05百万円としている。減益予想から一転して大幅増益見通しとなった。配当予想も5月16日に前回予想から17円増額修正して年間50円(期末一括)としている。前々期との比較では2円増配となる。   独立行政法人国立病院機構から受けた指名停止の影響があったが、主要取引先の急性期病院の建て替えや設備投資に伴う機器更新案件の受注が想定以上となり、CT-MRI、内視鏡システム、超音波診断装置など検査機器類の販売が増加した。低浸襲治療分野における取扱症例数の増加やSPD契約施設の増加で、医療機器消耗品や内視鏡処置用医療材料(IVE)などの販売も増加した。増収効果で売上総利益が大幅に増加したようだ。   今期(15年5月期)については、診療報酬・医療材料価格改定の影響を受け、指名停止の影響も残るようだが、急性期病院の建て替えや設備投資に伴う機器更新需要が引き続き高水準に推移し、SPD契約施設の増加も寄与して好業績が期待される。   株価の動きを見ると、5月16日の前期業績・配当の増額修正を好感して、5月19日に戻り高値2120円まで急伸する場面があったが、その後はやや上値が重くなり、足元は概ね1800円近辺の小幅レンジで推移している。ただし下値切り上げの展開は続いている。3月安値1465円で底打ちして強基調に転換した流れに変化はないようだ。   6月25日の終値1825円を指標面で見ると、前期推定連結PER(会社予想の連結EPS198円05銭で算出)は9~10倍近辺、前期推定配当利回り(会社予想の年間50円で算出)は2.7%近辺、実績PBR(訂正後の前々期実績連結BPS2043円57銭で算出)は0.9倍近辺である。5月の戻り高値から反落したが、週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインとなって下値を切り上げている。強基調に転換した流れに変化はなく戻り歩調の展開だろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
医療機器商社の山下医科器械<3022>(東1)の株価は、前期(14年5月期)業績・配当の増額修正を好感して、5月19日に戻り高値2120円まで急伸する場面があった。
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2014-06-26 09:15