幅広い品目で価格は上昇-デフレ終焉は近づきつつある-=村上尚己

  本日発表された11月消費者物価(コア)指数は前年比+1.2%と前月(同+0.9%)から一段と上昇した。2013年5月にプラスに転じてから上昇が続き、ついに前年比+1%を超えた。2014年度に日本銀行が想定している同+1.3%に、かなり接近した(グラフ参照)。   2013年秋口以降の物価上昇の特徴は、食料品などの価格上昇だけに止まらないことである。ガソリンなどエネルギーや食品を除いた「米国式コア指数」(いわゆるコアコア指数)は、前月(10月同+0.3%)にプラスに転じ、11月には同+0.6%と一挙に伸びを高めた。なお、前回脱デフレが期待された2006~08年時にも、このコアコア指数はほとんど上昇しなかった。現在は当時よりも、価格上昇が鮮明になりつつある。   10、11月の価格上昇には、傷害保険料の上昇などテクニカルな要因が影響している面がある。それを割り引いても、ガソリン等以外の幅広い品目の価格上昇(価格下落緩和)が起きて、それが消費者物価全体を押し上げる構図が強まっている。例えば、家電などの耐久消費財は、技術革新のため常に価格下落が起きているカテゴリーだが、マイナス幅は縮小しほぼゼロまで浮上している(グラフ参照)。   また、「家賃」の下落が重石となっている「一般サービス」についても、外食や旅行などの価格上昇によって11月にわずかだがプラスとなっている(グラフ参照)。2013年初からの消費復調で、品質や価格帯が高いモノやサービスの売れ行きが良くなり、それが価格上昇をもたらしているとみて良いだろう。    「円安による偏った価格上昇」「電力料金などの値上げ」という価格上昇の負の面が、メディアなどで強調されることが多い。実際には、アベノミクス発動による日本銀行の金融政策転換を起点に、価格上昇の「すそ野の広がり」によって、2013年に脱デフレが着実に進んでいる。1990年代半ば以降日本経済が苦しんでいたデフレが終焉に向かう、という歴史的な変化が実現しつつある。(執筆者:村上尚己 マネックス証券チーフ・エコノミスト 編集担当:サーチナ・メディア事業部)
本日発表された11月消費者物価(コア)指数は前年比+1.2%と前月(同+0.9%)から一段と上昇した。2013年5月にプラスに転じてから上昇が続き、ついに前年比+1%を超えた。2014年度に日本銀行が想定している同+1.3%に、かなり接近した(グラフ参照)。
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2013-12-27 17:30