エストラスト煮詰まり感強めてモミ合い上放れのタイミング
山口県や福岡県を中心に展開する不動産デベロッパーのエストラスト <3280> (東マ)の株価は、5月21日安値646円から切り返したが上値が重く700円台前半のレンジでモミ合う展開だ。消費増税の影響が警戒されているようだが、今期(15年2月期)の分譲マンション契約進捗率は高水準である。煮詰まり感を強めて上放れのタイミングだろう。7月10日予定の第1四半期(3月~5月)業績発表が接近して期待感が高まる可能性もあるだろう。
山口県および福岡県を地盤とする不動産デベロッパーである。一次取得ファミリー型の新築分譲マンション「オーヴィジョン」シリーズ、および新築戸建住宅「オーヴィジョンホーム」の不動産分譲事業を主力として、連結子会社トラストコミュニティが展開する「オーヴィジョン」マンション管理受託の不動産管理事業や不動産賃貸事業も強化している。
九州・山口エリアでのNO.1デベロッパーを目指し、福岡県および九州主要都市への進出加速、九州・山口エリアでのマンション年間供給500戸体制構築、山口県での戸建住宅年間供給100戸体制の構築、ストック型ビジネスとなる建物管理受託戸数の拡大、優良賃貸物件のポートフォリオ構築などを推進している。
重点エリアである福岡県での事業展開加速に向けて、13年6月には第三者割当増資によって、ふくおかフィナンシャルグループ <8354> 傘下の福岡銀行との関係を強化した。また14年3月には、山口県内最大のオフィス街に立地する下関第一生命ビルディング(山口県下関市)を取得した。優良賃貸物件のポートフォリオ構築で事業収益を向上させる方針だ。
今期(15年2月期)の連結業績見通し(4月10日公表)は、売上高が前期比16.7%増の120億円、営業利益が同11.1%増の10億90百万円、経常利益が同9.0%増の9億70百万円、純利益が同10.4%増の6億円で、配当予想は前期と同額の年間8円(第2四半期末2円、期末6円)としている。
分譲マンション・戸建住宅の引き渡しが順調に進み、プロジェクト先行費用などを吸収して経常最高益更新の見込みだ。通期の分譲マンション引き渡し予定430戸(前期比56戸増)に対して、期首時点において355戸の契約を締結し、契約進捗率はすでに82.6%に達している。分譲戸建住宅は42戸(同25戸増)の引き渡しを計画し、不動産管理事業のマンション管理戸数(期末)は2139戸(同429戸増)の計画だ。
消費増税後の反動影響については、新税率適用の13年10月~12月に契約がやや落ち込んだが、14年1月以降は順調に回復しているようだ。今期分譲マンション引き渡しに計画に対する契約進捗率は期首時点で高水準であり、反動影響は限定的だろう。不動産管理事業の管理戸数増加や、不動産賃貸事業のポートフォリオ充実も寄与して好業績が期待される。
中期経営計画では目標値として16年2月期の新築分譲マンション引き渡し戸数494戸、売上高130億円、営業利益12億50百万円、経常利益12億円、純利益7億20百万円を掲げている。事業展開の重点エリアとしている福岡市は13年5月に人口が150万人を突破した。国家戦略特区に指定されたこともあり、さらに人口増加傾向を強めることが予想される。成長市場への事業展開を加速して中期的に収益拡大基調だろう。
株価の動きを見ると、5月21日の年初来安値646円から素早く切り返したが、上値が重く概ね700円台前半の小幅レンジでモミ合う展開が続いている。依然として消費増税の反動影響が警戒されているようだ。ただしモミ合い煮詰まり感も強めている。
6月29日の終値703円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS119円60銭で算出)は5~6倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間8円で算出)は1.1%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS420円19銭で算出)は1.7倍近辺である。週足チャートで見ると26週移動平均線が戻りを押さえる形だが、5月の安値で下ヒゲを付けて700円近辺での下値固め完了感を強めている。モミ合い上放れのタイミングが接近しているようだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
山口県や福岡県を中心に展開する不動産デベロッパーのエストラストの株価は、5月21日安値646円から切り返したが上値が重く700円台前半のレンジでモミ合う展開だ。
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2014-06-30 09:45