資生堂は3月高値を突破して強基調、上値追い
資生堂 <4911> の株価は、5月の直近安値1667円から切り返しの展開となり、6月24日と6月25日の1934円まで上伸して3月高値1911円を突破した。その後一旦は利益確定売りで反落したが、7月1日には1877円まで切り返して強基調の形だ。消費増税に伴う反動減は一時的要因であり、収益改善基調を評価する流れに変化はなく、上値を追う展開だろう。
抜本的な収益構造改革および中期成長に向けて、12年度に「市場と同程度の売上成長でも着実に利益を拡大できる高収益構造」を目指す方向に軌道修正した。特に「日本、中国、米ベアエッセンシャル」の3領域を重点強化する方針を打ち出して、国内市場における事業の再構築、海外市場でのグローバルブランド育成を推進している。
13年12月時点でグローバルブランド「SHISEIDO」の展開地域は世界89ヶ国・地域(日本を含む)となった。14年4月には、インドネシアのコングロマリットであるシナルマスグループ傘下のシナルマス・トゥンガルと合弁契約(合弁会社は14年7月営業開始予定)を締結した。
毛髪再生医療の早期実現に向けて、13年7月にカナダのレプリセル社の毛髪再生医療技術導入に関する技術提携契約を締結し、14年5月には研究開発の中核となる「資生堂細胞加工培養センター(SPEC、呼称スペック)」を神戸医療産業都市に開設している。
6月23日には、フレグランスの企画・製造・販売を行う仏子会社ボーテ・プレステージ・インターナショナル(BPI)が、フランスファッション界でニューウェーブのパイオニアとされる「ザディグエ ヴォルテール」と15年間の独占契約を締結したと発表している。高級フレグランス事業を拡大する。
今期(15年3月期)の連結業績見通し(4月25日公表)は売上高が前期比2.4%増の7800億円、営業利益が同15.4%減の420億円、経常利益が同18.3%減の420億円、純利益が同45.3%増の380億円、配当予想が前期と同額の年間20円(第2四半期末10円、期末10円)としている。
4月30日に「カリタ」ブランドおよび「デクレオール」ブランドの仏ロレアル社への売却が完了したため、約225億01百万円の売却益を特別利益に計上して純利益は大幅増益の見込みだ。
売上面では、国内の消費増税前駆け込み需要の反動減(販社売上ベースで前期駆け込みによる売上増約120億円に対して、今期反動による売上減約80億円を想定)や、海外の「カリタ」ブランドおよび「デクレオール」ブランドの仏ロレアル社への譲渡がマイナス要因となるが、欧米、中国、新興国などでの売上伸長や円安効果などで吸収して増収見込みだ。営業利益と経常利益については、成長に向けたマーケティングコスト強化や人件費増加で減益見込みとしている。
セグメント別売上高の計画は、国内化粧品事業が同1.6%減の3440億円、グローバル事業が同5.9%増の4260億円、その他事業が同1.1%減の100億円で、想定為替レートは1米ドル=100円、1ユーロ=135円、1中国人民元=16.5円としている。国内消費増税に伴う反動減は一時的要因であり、収益改善基調に変化はないだろう。
6月30日に発表した月次売上動向(国内・化粧品販売会社売上、前年比)を見ると、14年5月はマイナス5%となった。消費増税前駆け込み需要の反動で伸び悩んだ。店頭売上も消費増税前駆け込み需要の反動影響が続いているが、カウンセリング化粧品、セルフ化粧品ともマイナス幅が4月に比べて改善したようだ。
なおグループ一体経営を推進するとともに、経営の透明性および質の向上を図るため、すべての連結子会社と決算期を統一して決算期を現在の「毎年3月31日」から「毎年12月31日」に変更する。この変更によって来期(15年12月期)が15年4月~12月の9カ月決算となる。
株価の動きを見ると、5月22日と5月23日の直近安値1667円から切り返しの展開となり、6月23日に1926円を付けて3月高値1911円を突破した。そして6月24日と6月25日には1934円まで上伸した。その後一旦は利益確定売りで6月30日の1834円まで反落したが、7月1日には1877円まで切り返している。再動意の構えだろう。
7月1日の終値1869円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS95円34銭で算出)は19~20倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間20円で算出)は1.1%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS849円42銭で算出)は2.2倍近辺である。週足チャートで見ると52週移動平均線がサポートラインとなって反発し、26週移動平均線と13週移動平均線を回復した。また日足チャートで見ると25日移動平均線が接近して反発した。サポートラインを確認した形であり、上値を追う展開だろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
資生堂<4911>(東1)の株価は、5月の直近安値1667円から切り返しの展開となり、6月24日と6月25日の1934円まで上伸して3月高値1911円を突破した。
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2014-07-02 09:15