日本の外国人労働者受け入政策、規制緩和に向け本格的始動

日本経営管理教育協会が見る中国 第313回--下崎寛(日本経営管理教育協会会員)
● 安倍政権の動き
安倍政権が外国人労働者の受け入れ拡大に向けて本格的に動き始めた。安倍首相は2014年4月5日の経済財政諮問会議と産業競争力会議の合同会議において、外国人労働者受け入れの抜本的な見直しを指示した。そこでは、外国人労働者の受け入れ枠の拡大、在留期間の大幅な延長、東京オリンピック以降についても、引き続き外国人労働者を活用することが挙げられている。
また、国家戦略特区を設けて、起業する外国人の規制緩和、日本人の家事や育児を手伝う外国人労働者受け入れ、段階的に外国人労働者の受け入れを進めようとしている。
● 従来の対応
日本では、外国人労働者受け入れの基本的方針は1967年(昭和42年)から開始されたが、最近では1999年(平成11年)に閣議決定された「第9次雇用対策基本計画」において明記されている。
そこでは、専門的・技術的分野の外国人労働者については、 我が国の経済社会の活性化や一層の国際化を図る観点から受入れをより積極的に推進することとで認めるが、一方で、いわゆる単純労働者の受入れについては、国内の労働市場にかかわる問題を始めとして日本の経済社会と国民生活に多大な影響を及ぼすとともに、送出国や外国人労働者本人にとっての影響も極めて大きいことから原則認めないこととしていた。
日本国としては、単純労働者はいらないが、お金を持ってきて日本国に投資してくれる外国人と、特別な専門的知識を有し日本国に役に立つ外国人しか認めないという、偏狭的な、いわゆる外国人労働者の鎖国制度を強いてきた。
● 緩和の方向
しかし、少子高齢化により若年層の労働者不足、東北大震災、2010年の東京オリンピックに係る建設労働者の不足などにより、外国人労働者を必要とせざるを得ない状況になってきた。そこで、日本政府としては、成長戦略の柱として外国人労働者の受け入れ緩和を考えている。
なお、政府としては、移民政策を認めているわけではないとしているが、日本もそろそろグローバル化、ボーダレス化に対応する移民政策を考える時期に来ている。
ただ、イギリス、ドイツ等の欧米諸国の移民制度を単純に導入するのではなく、アジアの移民制度を考えるべきであろう。まず、日本語学校の充実を図り、同じ国出身の外国人講師を活用し、日本語でのコミュニケーションができる外国人教育制度をつくる。労働基準法などの法律税務において日本人労働者と外国人労働者とを同一に考えるのではなく、外国人の雇用制度(外国人は日本国憲法の適用がない)を別枠でつくる。業種業態の労働生産性における外国人労働者との棲み分けを図るなどの工夫が必要と思われる。(執筆者:下崎寛・日本経営管理教育協会会員 編集担当:水野陽子)
安倍政権が外国人労働者の受け入れ拡大に向けて本格的に動き始めた。安倍首相は2014年4月5日の経済財政諮問会議と産業競争力会議の合同会議において、外国人労働者受け入れの抜本的な見直しを指示した
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2014-07-02 11:00