朝日ラバーは戻り一服だが下値は切り上げ、出直りに変化なし

  車載照明用ゴム製品が主力の朝日ラバー <5162> (JQS)の株価は、5月20日直近安値333円から6月17日393円まで切り返した後、戻り一服となって370円~390円近辺で推移している。ただし下値切り上げの動きを継続して底打ちを確認した形であり、今期(15年3月期)業績見通し上振れ余地や低PBRも支援材料となって出直りの流れに変化はないだろう。   自動車内装照明関連などの工業用ゴム製品を主力として、スポーツ用ゴム製品(卓球ラケット用ラバー)、医療・衛生用ゴム製品(点滴輸液バッグ用ゴム栓など)、機能製品RFIDタグ用ゴムなども展開している。シリコーンゴムをベースにした製品開発に強みを持ち、車載用小型電球の光源カラーキャップ「ASA COLOR LAMPCAP」や、車載用LED照明の光源カラーキャップ「ASA COLOR LED」などを主力製品としている。   車載用「ASA COLOR LED」は従来の高級車向けに加えて、小型車や軽自動車向けにも採用が拡大している。新製品では、機能製品RFIDタグ用ゴムの増産を進め、医療分野の新製品プレフィルドシリンジ(薬液充填済み注射器)用ガスケットの量産も開始した。NEC <6701> のポータブルDNA解析装置向けマイクロ流体チップについては今期(15年3月期)に量産を開始する計画で、NEC向け以外の複数案件も商談が進行中のようだ。   今期(15年3月期)の連結業績見通し(5月13日公表)は売上高が前期比0.4%増の57億円、営業利益が同9.1%減の2億60百万円、経常利益が同25.7%減の2億20百万円、純利益が同6.8%減の1億50百万円で、配当予想は前期と同額の年間8円(第2四半期末3円、期末5円)としている。   セグメント別売上高の計画は工業用ゴム事業が同0.6%増の45億44百万円、医療・衛生用ゴム事業が同0.6%減の11億56百万円としている。売上面では、車載用「ASA COLOR LED」など自動車関連を中心に主力製品の販売数量が増加するが、自動車関連の販売単価下落で微増収見込みとしている。利益面では減価償却費の増加などで減益見込みとしている。ただし会社予想は保守的な印象が強く、原価低減効果なども寄与して上振れ余地があるだろう。   5月13日に第11次3ヵ年中期経営計画(V-1計画)を発表した。20年3月期を見据えた長期ビジョンを「AR-2020VISION」として、前半3ヵ年(15年3月期~17年3月期)を第1ステージ「V-1計画」、後半3ヵ年(18年3月期~20年3月期)を第2ステージ「V-2計画」としている。   中期経営方針を、既存事業の質・量の継続的成長(国内事業は質的成長、海外事業は量的成長)、新市場・新分野への事業展開、20年に向けた事業基盤の強化・整備として、第1ステージ「V-1計画」の目標数値は17年3月期売上高80億円(自動車分野37億円、医療分野13億円、ライフサイエンス分野16億50百万円、その他13億50百万円)、営業利益8億円を掲げた。設備投資計画は3期累計で24億50百万円としている。成長分野への積極投資で中期的に収益拡大基調だろう。   株価の動きを見ると、5月20日の直近安値333円から切り返しの展開となり、6月17日の393円まで上伸した。その後は戻り一服の形となって概ね370円~390円近辺で推移している。ただし下値切り上げの動きを継続して、5月安値での底打ちを確認した形だろう。   7月3日の終値375円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS32円98銭で算出)は11~12倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間8円で算出)は2.1%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS705円77銭で算出)は0.5倍近辺である。戻り一服の形だが日足チャートで見ると、25日移動平均線がサポートラインとなって下値を切り上げている。また週足チャートで見ると、13週移動平均線に続いて26週移動平均線突破の動きを強めている。5月安値で底打ち確認した形であり、低PBRも支援材料となって出直りの流れに変化はないだろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
車載照明用ゴム製品が主力の朝日ラバー<5162>(JQS)の株価は、5月20日直近安値333円から6月17日393円まで切り返した後、戻り一服となって370円~390円近辺で推移している。
economic
2014-07-04 09:15