【為替本日の注目点】株安や米金利低下でドル円反落、低PCEがドルの上昇を抑え
NY市場
先週の良好な雇用統計にもかかわらず上値の重いドル円は、株価の下落や長期金利の低下を受け102円台を割り込む。一時は101円79銭までドル安が進んだが、売り方の勢いもなく101円85-90銭で引ける。
ドル安を受けてユーロドルも小幅に上昇。1.35台後半から1.36台に乗せたものの、1.35~1.37のレンジ取引が強まる。
1万7000ドルの大台に乗せたNYダウは反落。特に材料はなかったが、明日から始まる決算発表を前に、利益確定の売りが勝った。ダウは44ドル下落したが1万7000ドルの大台は維持。
株安から債券には買い物が集まり小幅高。良好な雇用増加が続いているものの、早期の利上げを促すほど強くはないとの見方が広がった。
金は続落。原油も7営業日続落し103ドル台に。
ドル/円 101.79~ 101.93
ユーロ/ドル 1.3592 ~ 1.3609
ユーロ/円 138.44 ~ 138.62
NYダウ -44.05 → 17,024.21ドル
GOLD -3.60 → 1,317.00ドル
WTI -0.53 → 103.53ドル
米10年国債 -0.027 → 2.614%
本日の注目イベント
日 5月国際収支
日 6月景気ウォッチャー調査
独 独5月貿易収支
米 5月消費者信用残高
米 ラッカー・リッチモンド連銀総裁講演
米 コチャラコタ・ミネアポリス連銀総裁講演
102円台を維持していたドル円は再び101円台後半に反落し、「元の鞘」に戻る気配が漂っています。昨日は特に経済指標もなく、これと言ったドル売り材料はなかったものの、株安と長期金利の低下にややドル売りが勝った様です。
先週末が休場だったため、木曜日の雇用統計がどれほど市場に織り込まれていたかを確認する意味で連休明けのNY市場の動きは注目されていましたが、株式市場では本日から始まる企業の第2四半期決算を前に利益を確定する動きが勝っていたようです。ダウは44ドル下落し、その他主要株式指数も揃って下落しています。一方債券市場では、ややリスクオフの流れに傾いたことから買い物を集め価格は上昇、利回りは小幅に低下しました。
先週木曜日の雇用者数の大幅な伸びを受けて、米ゴールドマンは利上げ時期の予想を2016年1-3月期から、2015年7-9月期に前倒ししました。この動きは同社だけではなく、ブルームバーグによると、JPモルガンや三菱UFJ銀行も前倒しに修正したそうです。
それでもドル円の上値が重いのは、まだFRBが早期利上げに動くには材料不足だということのようです。一つには、FRBがインフレ指標として重視している「PCE・コアデフレータ」が2%を大きく下回っていることが挙げられます。FRBは消費者物価指数(CPI)よりも、こちらの指標をより重要視していると見られ、同指標は足許では1.5%と、FRBがメドとしている水準には達していません。ここから、低PCE・コアデフレータ→インフレ懸念なし→利上げのタイミングではない、と言った連想が働きドルの上昇を抑えることになります。
おそらく今回のような好調な雇用環境が続けば、いずれ利上げ観測が急速に高まることは十分考えられます。タイミング的には「秋口」辺りになるかもしれませんが、イエレン議長はハト派姿勢を強めていることに加え、新しくFRB副議長に就任した、フィッシャー前イスラエル中銀総裁も、イエレン議長に近いと見られていることで、FRBが重い腰を上げにくいとの見方もあります。
今年に入って米雇用は5ヶ月連続で20万人を超えており、寒波の影響をもろに受けた1月を加えても、月平均23万人を超える勢いで増加しています。テーパリングが年内で終わることはほぼ間違いないと思われ、後はインフレ指標がどの程度高まって来るのかが利上げのタイミングを決定しそうです。
本日もドル円は大きな動きは望めそうもありません。昨日の下落でも「120日線」(1時間足)は維持されていることから、下値のポイントはこの辺りになりそうです。上値は昨日の動きから102円台が徐々に重くなっていると思われることからレンジは、101円50銭~102円20銭程度と予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)
先週の良好な雇用統計にもかかわらず上値の重いドル円は、株価の下落や長期金利の低下を受け102円台を割り込む。一時は101円79銭までドル安が進んだが、売り方の勢いもなく101円85-90銭で引ける。
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2014-07-08 09:30