新経済連盟、第1回イノベーション大賞にiPS細胞の山中伸弥氏を選出

 一般社団法人新経済連盟は2014年7月8日、「新経済連盟 イノベーション大賞」を創設し、その第1回受賞者に、京都大学iPS細胞研究所所長・教授の山中伸弥氏を選出し、授与式を開催した。代表理事の三木谷浩史氏は、山中氏を選出した理由について「医学・科学技術上のイノベーションを起こしたのみならず、実用化に向けたエコシステムを構築する上でもイノベーターである」と語った。山中氏は、「ノーベル賞をはじめ、これまでいただいた多くの学術賞は、2006年に発表した科学的発見に対する賞だったが、今回の受賞は2007年以降の現在に至る取り組みを評価していただいた」と受賞の喜びを語っていた。(写真は、イノベーション大賞の記念の盾を贈る三木谷浩史氏<左>と、受賞した山中伸弥氏。サーチナ撮影)  「新経済連盟 イノベーション大賞」は、「独創的、かつ、先進的なイノベーションにより、経済・社会に対して極めて顕著な貢献を果たした者について、その栄誉を称えて表彰し、日本全体のイノベーションを促進することを目的に創設した」という。受賞者の山中伸弥氏には、記念の盾を贈るとともに、賞金3000万円を贈呈した。  この賞金3000万円については、新経済連盟の理事5名(三木谷氏の他、サイバーエージェント社長の藤田晋氏、フューチャーアーキテクト会長兼社長の金丸恭文氏、GMOインターネットの会長兼社長の熊谷正寿氏、シスコシステムズ社長の平井康文氏から合計2250万円)と、幹事会社(750万円)の寄付によって捻出した。  乾杯の挨拶に立った理事のひとりである藤田氏が、「大賞の創設は、フェイスブックのザッカーバーグ氏が後進のために10億円を寄付するようなことが活発に行われている米国のような文化を日本にも根付かせたいということを三木谷氏が言い出したことが構想の発端だった。当然、三木谷氏が全額寄付をするものだと思っていたのだが、最終的には理事のワリカンに決まった」と内情を暴露している。「3000万円はスタート台として、新経済連盟のメンバーから寄付を募って、より多くの賞金を出せるようにしていきたい」(藤田氏)としている。  このような民間からの研究援助について、受賞者である山中氏は、「今後、iPS細胞の研究成果を実用化に向けて進めていくにあたって、国費からの援助も受けているものの、国費には国費であるための使途制限がある。すでに、京都大学基金として寄付による25億円の資金を得ているが、研究所スタッフ約300名の長期雇用を実現するなど、安定的な研究環境を作っていくためには、引き続き寄付をお願いしなければならないのが実情。今回の賞金は、寄付によって提供されることに大きな意義がある」と語った。  また、授賞式には来賓として経済再生担当大臣の甘利明氏、厚生労働大臣の田村憲久氏、文部科学大臣の下村博文氏が駆けつけ、「イノベーション大賞」が山中氏の研究を支援することについて、それぞれの立場から称えた。  甘利氏は、経済再生のために「イノベーション立国を推し進める」と強調し、「民間の有志が、身銭を切って取り組んでいることには頭が下がる。そのような志に恥じないような国家の体制をつくっていきたい」と語った。また、iPS細胞の医療研究の成果に期待を込める田村氏は、「iPS細胞による新しい治療法を待ち望んでいる方々のためにも山中教授には、大きな期待をしている。また、山中教授をはじめ現場の方々の意見をくみ上げ、イノベーションしやすい環境整備をすすめる」と強調した。東京オリンピック・パラリンピックの担当でもある下村氏は、「1人1人の潜在可能性を活かせる教育を実現し、成長発展する国づくりをおこないたい。2020年の東京オリンピックに向けた目標設定を行っているところだ」と、“イノベーション立国”を加速させると力を込めた。(編集担当:風間浩)
一般社団法人新経済連盟は2014年7月8日、「新経済連盟 イノベーション大賞」を創設し、その第1回受賞者に、京都大学iPS細胞研究所所長・教授の山中伸弥氏を選出し、授与式を開催した。(写真は、イノベーション大賞の記念の盾を贈る三木谷浩史氏<左>と、受賞した山中伸弥氏。サーチナ撮影)
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2014-07-08 19:30