DeNA、一般向け遺伝子検査「MYCODE」を8月中旬に発売

ディー・エヌ・エー(DeNA)の子会社でヘルスケア事業を展開するDeNAライフサイエンスは2014年7月9日、一般消費者向け遺伝子検査サービス「MYCODE(マイコード)」を8月中旬からサービス開始すると発表した。当日、遺伝子検査について共同で研究している東京大学医科学研究所で共同研究に関する報告会(第2回)を開催し、当初スタートするサービスの検査項目から「遺伝性疾患」「家族性腫瘍」「薬剤体質」「能力」「祖先ルーツ」については情報を提供しないことなどを発表した。(写真は左から、DeNAライフサイエンスの深澤優壽氏、東京大学医科学研究所の宮野悟氏、DeNA取締役ファウンダーの南場智子氏。サーチナ撮影)
「MYCODE」は7月30日から、Amazon.co.jpにて先行予約の受付を開始し、8月中旬に発売予定。3つのメニューがあり、病気(がん・生活習慣病)、体質・ダイエット・美容の全項目が入ったセット「オールインワン280+」(税別:2万9800円)、がん・生活習慣病の主たる病気と、体質・ダイエット・美容の一部検査が入ったセット「ヘルスケア100+」(同1万9800円)、ダイエット・肥満、栄養、代謝、体型、美容(髪質・肌)等、体質の主要項目が入ったセット「カラダ30+」(同9800円)を発売する。
「MYCODE」は、検査を受ける人の唾液から遺伝子情報を読み取り、胃がん・肺がん・食道がんなど40種類の「がん」、糖尿病・高血圧・心臓疾患など25種類の「生活習慣病」、また、リウマチ・骨粗しょう症・胃潰瘍など87項目の「その他疾病」リスクと肥満や脂質などの「体質」関連を合わせ、最大283の検査項目に関する情報を提供する。
一方、ハンチントン病・筋ジストロフィーなど「遺伝性疾患」、大腸がん(リンチ症候群)・乳がん(BRCA1/2異常)など「家族性腫瘍」は、確定的な結果が出るため情報提供を行わない。また、ワーファリンやインターフェロンなど「薬剤体質」、記憶力やスピード/瞬発力など「能力」、縄文系/弥生系や遠い親戚などの「祖先ルーツ」については、スタート時は対象外にしている。
「医業に該当する診断ではなく、疾患についての遺伝要因(個人が該当する遺伝子型グループ)から読み取れる、かかりやすさの値を表示する。また、疾患の予防や健康維持のための対処法(食事、栄養、運動、生活習慣等)についてのアドバイスコンテンツも提供する」(DeNAライフサイエンス代表取締役社長の深澤優壽氏)としている。
検査結果については、たとえば、「肝臓がん」について平均との比較で「1.46倍(発症リスクが高い)」「0.80倍(発症リスクが低い)」などと表記し、参考情報として疾患ごとの患者数、予防法(予防や発症につながるとされる環境要因・予防因子・危険因子など)の情報を提供する。
この検査結果の科学的根拠・信頼度については、東大医科学研究所との共同研究の成果を活かす。遺伝子データベースである米NIH GWASカタログの情報を精査・精読し、最終的には論文の著者に確認する作業も入れ、「疾病リスク予測モデルに用いられているSNP(スニップ:DNAの塩基配列の個人差の一種)の約20%は論文の分析によってGWASカタログにはない情報を抽出したものであり、GWASカタログから9件の誤記を修正するなどの成果を活かしている」(東大医科学研ヒトゲノム解析センターDNA情報解析分野教授の宮野悟氏)という。
また、共同研究は、ヘルスビッグデータ社会実装にあたってのELSI(倫理的・法的・社会的問題)面での課題抽出と対処法の研究などを実施している。DTC(Direct-to-Consumer)遺伝子検査の起業化については、国によっても規制が異なる状況にある。これまでの研究の結果として、サービス開始時においては、「単一遺伝子疾患」「家族性腫瘍」「小児疾患」「先天性疾患」「精神疾患」「薬剤応答」「才能」などを検査で取り扱う項目から除外することを決定している。
宮野氏は、「医業との関係、DTC遺伝子検査に対する倫理的・法的・社会的問題については継続して議論していく」と語っている。(取材・編集担当:徳永浩)
DeNAライフサイエンスは2014年7月9日、一般消費者向け遺伝子検査サービス「MYCODE(マイコード)」を8月中旬からサービス開始すると発表した。(写真は左から、DeNAライフサイエンスの深澤優壽氏、東京大学医科学研究所の宮野悟氏、DeNA取締役ファウンダーの南場智子氏。サーチナ撮影)
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2014-07-09 16:30