【為替本日の注目点】FOMC受けドル円反落、過度な安心感リスクテイクを戒める

 NY市場  ドル円は株高に反応し101円台後半まで反発したが、FOMC議事録では特に利上げの時期が早まるような手がかりはなかったことで101円60-65銭まで反落。     ユーロドルもFOMC議事録を受け上昇。1.36台前半から1.3648までユーロ高が進む。   株式市場は反発。前日発表されたアルコアの決算が好調だったことを好感。FOMC議事録で売られる場面もあったが、引けにかけて再び上昇しダウは78ドル高。   債券相場は小幅に続伸。FOMC議事録の内容を受け、利上げが前倒しになるとの見方が後退。長期金利は僅かに低下し2.556%に。   金は4日振りに反発、原油は在庫が予想以上だったことで9営業日続落となる。   ドル/円 101.54~ 101.87  ユーロ/ドル 1.3603 ~ 1.3648  ユーロ/円 138.33 ~ 138.75  NYダウ +78.99  → 16,985.61ドル  GOLD +7.80  → 1,324.30ドル  WTI -1.11    → 102.29ドル  米10年国債 -0.003 → 2.556%  本日の注目イベント  豪   豪6月雇用統計   中   中国 6月貿易収支   欧   ECB月例報告   英   BOE政策金利発表   米   新規失業保険申請件数   米   ジョージ・カンザスシティー連銀総裁講演   FOMC議事録では、やや「タカ派的」な内容が出てくるのではないかとの期待も一部にありましたが、特段踏み込んだ議論もなくやや失望感を持って受け止められています。金融緩和の終了から出口戦略の具体的な詳細も明らかになるのではないかとの観測も肩透かしに終わった格好です。  議事録では株式、為替、債券市場でのボラティリティーの低さに懸念を表明し、さらに投資家が景気見通しに過度な安心感を抱いている可能性があるとの指摘もあり、金融当局は行き過ぎたリスクテイクがないかどうか目を光らせるべきだとも述べられています。また、現行の債券購入プログラムについて、経済が予想通りに改善した場合、10月の会合で最後に150億ドル縮小し、「プログラムを終了」させることで意見が一致しています。  現在350億ドルまで縮小されたQEは、市場予想通り年内に終了することが確認されたことになりますが、この部分は既に市場に織り込まれていたことから反応は見られていません。2008年9月のリーマンショックから一貫して継続されてきた「量的緩和」は、その震源地である米国が最も早く終了させることになります。  100年に一度のリーマンショックを受けて、世界景気が急速に悪化し、さらに欧州債務危機、日本ではデフレの進行など、多くの副作用に悩まされてきましたが、「重症」だった米国は一時ICUに入って必死の治療を続けてきましたが、これで晴れて年内の退院が決まったことになります。一方日欧は当初ICUにこそ入らなかったものの、いまだに一般病棟で治療を続けています。症状の最も重かった米国がいち早く健康体に戻るところが、米国の「金融力」のすごさだと言えます。  ドル円は昨日のNYで101円87銭まで上昇した後下落に転じています。上値は徐々に切り下がっており、同時に下値も切り上がっていることから「日足」では「三角保ち合い」が形成されつつあります。4月4日の104円13銭を頂点にレジスタンスラインを引くことができ、5月21日の100円82銭を底値に、サポートラインが引けます。現在、その三角形の中でもみ合う形になっていますが、どちらに抜けるのか注目したいと思います。  ドル円だけではなく、ユーロドルも値動きが小さくなっており、市場は材料不足です。動くきっかけがつかめないということですが、上述のようにFOMCでもこのことが議論されていました。値動きが小さいことから、利益目標額が変わらない以上、ポジションを増やすしか手立てはありません。イエレンFRB議長も過度のリスクテイクを戒める言葉を発しています。ここは辛抱のしどころとわきまえて「忍の一字」で臨むべきでしょう。本日は10時半のオーストラリアの雇用統計と、11時の中国の貿易収支に注目が集まります。予想レンジは101円30銭~101円90銭程度にしたいと思います。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)
ドル円は株高に反応し101円台後半まで反発したが、FOMC議事録では特に利上げの時期が早まるような手がかりはなかったことで101円60-65銭まで反落。
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2014-07-10 09:30