日本ライフラインは5月安値圏から切り返して強基調に転換

  医療機器輸入商社の日本ライフライン <7575> (JQS)の株価は、5月安値圏の610円台から切り返す展開となり、6月24日には人口血管開発の一部報道を材料視して892円まで急伸した。その後一旦反落したが7月9日には821円まで戻す場面があった。強基調に転換した形であり、中期成長力を評価して2月高値965円を目指す展開だろう。3%近辺の配当利回りや低PBRも支援材料だ。   心臓ペースメーカやカテーテルなど心臓循環器領域を中心とする医療機器輸入商社で、国内を網羅する販売代理店ネットワークを構築している。商社機能に加えて、グループ内子会社にメーカー機能を併せ持っていることも強みだ。   主力製品は、心臓ペースメーカ、ICD(植込み型除細動器)、CRT-D(除細動機能付き両心室ペースメーカ)などのリズムディバイス部門、EPカテーテル、アブレーションカテーテル、心腔内除細動カテーテル、高周波心房中隔穿刺針などのEP/アブレーション部門、人工心臓弁、人工血管、ステントグラフトなどの外科関連部門、バルーンカテーテル、ガイドワイヤーなどのインターベンション部門、および血液浄化関連などのその他部門である。   メーカー機能の強化に向けて、09年に人工血管などを製造するJUNKEN MEDICAL社、10年にガイドワイヤーなどを製造するSYNEXMED社(香港)(14年3月期から連結対象)を子会社化した。採算性の高い自社製品の売上構成比上昇に向けて生産体制を一段と強化する方針で、14年10月には新工場となる小山ファクトリー(栃木県小山市)の稼動を予定している。   今期(15年3月期)の新商品導入に関しては、第1四半期(4月~6月)にバルーンカテーテルで初の自社製品となる「canPass」の販売を開始した。第2四半期(7月~9月)には、外科関連で国内オンリーワン製品(国内唯一の開胸手術用)となる自社製品「J-Graftオープンステントグラフト」の販売を開始する。また7月7日には、心臓ペースメーカの新商品「REPLY200」の薬事承認を7月4日に取得し、8月1日から販売開始すると発表した。   第4四半期(1月~3月)には、MRI(磁気共鳴画像)検査対応の心臓ペースメーカ「KORA」、およびICD関連の「INTENSIA」の上市を目指している。そして来期(16年3月期)は、アブレーションのイリゲーション機能付き新製品の上市を目指し、15年春には子会社ハートブレーンがAED(自動体外式除細動器)の販売開始を予定している。   今期(15年3月期)の連結業績見通し(5月2日公表)は、売上高が前期比4.8%増の255億39百万円、営業利益が同11.7%減の10億76百万円、経常利益が同19.1%減の10億81百万円、純利益が4億91百万円(前期は2億02百万円の赤字)としている。   薬事関連費用の増加で営業減益だが、EP/アブレーションおよび外科関連の拡大が牽引して増収見込みだ。純利益は前期計上の特別損失が一巡し、小山ファクトリー稼動に伴う助成金も寄与して黒字化の見込みだ。配当予想は前期と同額の年間25円(期末一括)としている。   品目別売上高の計画は、リズムディバイスはペースメーカ関連が減少して同12.7%減の57億72百万円、EP/アブレーションはEPカテーテルや高周波心房中隔穿刺システムが好調で同16.4%増の104億97百万円、外科関連は人工血管の好調や新商品のオープンステントグラフトが寄与して同12.0%増の51億87百万円、インターベンションはバルーンカテーテルが減少して同6.7%減の26億29百万円、その他は同12.3%増の14億52百万円としている。   今期は、14年4月の保険償還価格改定で取扱商品全般に価格が引き下げられ、特に心臓ペースメーカで主要モデルの引き下げ幅が17.3%と大きいため売上面で影響を受ける。ただし収益性の高い自社製品の拡販、高周波心房中隔穿刺システムや胸部用ステントグラフトなど前期販売開始した新商品の数量増加、そして今期販売開始の新製品も寄与して増収見込みだ。   利益については、増収効果、自社製品比率上昇に伴うプロダクトミックス改善効果、原価低減効果などで売上総利益は増加するが、来期以降の新商品導入に係る薬事関連費用(治験費用、検査費、支払手数料)の増加で営業利益と経常利益は減益見込みとしている。自社製品の売上高は同9.9%増の112億95百万円で、売上構成比(単体ベース)は47.4%となる計画だ。なおリズムディバイスは輸入商品が中心だが、概ね円建て取引のため為替リスクは小さいとしている。   中期戦略としては、メーカー機能(医療現場のニーズを反映した自社製品の開発・導入)と、商社機能(海外の最先端医療機器の販売権獲得と国内への導入)を併せ持つ強みを活かしながら、各分野の商品ラインナップ充実で成長を目指すとしている。目標数値としては19年3月期売上高351億円、営業利益率10%以上を掲げている。コアビジネスは輸入商品中心のリズムディバイスから、自社製品中心のEP/アブレーションおよび外科関連へシフトするようだ。外科関連では大動脈疾患治療の商品ラインナップ充実を推進する。   株価の動きを見ると、5月安値圏の610円台で下値固めが完了して切り返す展開となった。さらに6月24日には、胸部大動脈瘤を患者に負担をかけずに治療できる人口血管を開発したとの一部報道を材料視して892円まで急伸し、2月高値965円に接近する場面があった。その後は利益確定売りで一旦反落して7月3日に740円まで調整したが、すぐに切り返して7月9日には821円まで戻す場面があった。再動意の形だろう。   7月10日の終値802円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS45円52銭で算出)は17~18倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間25円で算出)は3.1%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS1354円09銭で算出)は0.6倍近辺である。週足チャートで見ると6月24日の急騰で長い上ヒゲを付けたが、26週移動平均線を突破して下値を切り上げている。5月安値圏で底打ちして強基調に転換した形だ。戻り歩調に変化はなく、中期成長力を評価して2月高値965円を目指す展開だろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
医療機器輸入商社の日本ライフライン<7575>(JQS)の株価は、5月安値圏の610円台から切り返す展開となり、6月24日には人口血管開発の一部報道を材料視して892円まで急伸した。
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2014-07-11 09:00