クリーク・アンド・リバー社は上げ足速めて1月高値を突破、13年5月高値試す
エージェンシー事業のクリーク・アンド・リバー社 <4763> (JQS)の株価は、7月に入って上げ足を速める形となり、7月7日には518円まで急伸して1月高値505円を突破した。その後は目先的な過熱感を強めて上げ一服の形だが、強基調へ転換した形であり、今期(15年2月期)業績増額修正の可能性も評価して、13年5月高値600円を試す展開だろう。
日本のクリエイティブ分野(映像・テレビ番組・ゲーム・Web・広告などの制作)で活躍するクリエイターを対象としたエージェンシー(派遣・紹介)事業・ライツマネジメント(著作権管理)事業・制作請負事業を主力として、韓国のクリエイティブ分野、医療・IT・法曹・会計などの分野にもエージェンシー事業を展開している。
日本のクリエイティブ分野では、13年8月公開のテレビ朝日開局55周年記念劇場公開映画「少年H」(モスクワ映画祭特別賞受賞)の制作を担当したことが評価され、番組制作請負事業が急拡大している。13年度(13年4月~14年3月)には地上波テレビ放送で200以上の番組制作に携わった。
新規分野として電子書籍・海外版権エージェント事業、作家エージェント事業、オンラインクリエイター事業、建築エージェンシー事業、ファッションクリエイター・エージェンシー事業にも進出している。13年12月には、ファッションクリエイター・エージェンシー事業の成長加速に向けて、アパレル業界に特化した人材派遣会社インター・ベルを連結子会社化した。またクリエイティブ分野においてクラウド関連サービスの立ち上げ準備も進めている。
7月3日に発表した今期(15年2月期)第1四半期の連結業績は、売上高が前年同期比26.8%増の60億92百万円、営業利益が同49.8%増の5億78百万円、経常利益が同50.9%増の5億83百万円、そして純利益が同2.2倍の3億49百万円だった。全セグメントが好調に推移し、四半期として過去最高の業績を達成した。
セグメント別売上高はクリエイティブ分野(日本)が同16.9%増収、クリエイティ分野(韓国)が同16.4%増収、医療分野が同24.6%増収、その他分野が同2.3倍増収だった。その他分野ではインター・ベルの連結化も寄与した。
売上総利益率は売上構成変化の影響などで同0.8ポイント低下したが、販管費比率が同2.2ポイント低下して大幅営業増益となった。クリエイティブ分野(日本)が同22.6%営業増益、医療分野が同39.1%営業増益と牽引し、クリエイティ分野(韓国)も損益が改善した。その他分野では12年に開始した電子書籍取次事業が黒字化した。新規事業(作家エージェント、オンラインクリエイター、建築エージェンシー、ファッションクリエイター・エージェンシー)は費用が先行して52百万円の赤字だったが、ほぼ想定水準のようだ。
通期の連結業績見通しは前回予想(4月3日公表)を据え置いて売上高が前期比11.6%増の230億円、営業利益が同23.6%増の13億50百万円、経常利益が同23.6%増の13億50百万円、純利益が同32.4%増の6億50百万円で、配当予想は同1円増配の年間6円(期末一括)としている。全セグメントが好調であり、新規事業分野での費用先行などを吸収して大幅増収増益見込みだ。
セグメント別売上高(内部取引等消去前)の計画は、クリエイティブ分野(日本)が同9.6%増の145億円、クリエイティブ分野(韓国)が同7.3%増の32億円、医療分野が同4.3%増の26億50百万円、IT・法曹・会計・その他分野が同42.6%増の27億円としている。
クリエイティブ分野(日本)では、高付加価値のテレビ番組制作請負や大規模Webサイト制作などが増加基調であり、自社開発ソーシャルゲームの新タイトル投入も寄与する。クリエイティブ分野(韓国)は、派遣以外の取引拡大で収益が改善する。医療分野では営業基盤強化策の効果、そしてIT・法曹・会計分野ではIT関連の事業再構築の効果が寄与する。
作家エージェント、オンラインクリエイター、建築エージェンシー、ファッションクリエイター・エージェンシーといった新規分野も順次収益化する見込みだ。通期見通しに対する第1四半期の進捗率は売上高が26.5%、営業利益が42.8%、経常利益が43.2%、純利益が53.7%と高水準だ。利益増額の可能性が高いだろう。
中期成長戦略では、既存事業で年率10~15%の成長を見込み、新たにスタート予定のクラウド関連サービスを含めた新規分野の積み上げ・収益化で、18年2月期に売上高300億円、営業利益30億円をイメージしている。中期的に収益拡大基調だろう。
株価の動きを見ると、5月21日安値348円から反発し、安値圏モミ合いから上放れて400円台まで水準を切り上げた。そして7月に入って上げ足を速める形となり、7月7日には518円まで急伸して1月高値505円を一気に突破した。その後は目先的な過熱感を強めて上げ一服の形だが、大幅増収増益見通しを評価する流れに変化はないだろう。
7月15日の終値496円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS30円19銭で算出)は16~17倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間6円で算出)は1.2%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS185円70銭で算出)は2.7倍近辺である。日足チャートで見ると目先的な過熱感を残しているが、週足チャートで見ると13週移動平均線が26週移動平均線を上抜いて先高感を強めている。強基調へ転換した形であり、今期業績増額修正の可能性を評価して13年5月高値600円を試す展開だろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
エージェンシー事業のクリーク・アンド・リバー社<4763>(JQS)の株価は、7月に入って上げ足を速める形となり、7月7日には518円まで急伸して1月高値505円を突破した。
economic
2014-07-16 09:15