外国人患者様はむしろ迷惑? 中国富裕層の需要増加とビザの壁

 今の中国人富裕層は日本が好きで、日本に来て、日本に多額のお金を落として行っていることは前回の記事で書かせて頂きました。  弊社のお客様から、「ある美容整形クリニックで、患者1人が支払った手術費累計の最高記録を、たった1日の手術で軽く更新した」、「世界中の5つ星ホテルのルームカードキーを重ねたら1メートル以上になったよ」という話を聞くこともあります。しかし彼らはやはり中国人、ビザの取得がかなり面倒なのであります。 ■中国人達にとってのビザの壁  富裕層であっても中国国籍であれば日本に来る際はもちろんビザが必要です。ビジネス以外で来る場合、大体は観光ビザでいらっしゃいます。弊社のお客様も大半がそうです。ですが観光ビザでは、短期すぎるということや、旅行会社が決めたホテルを予約しなければならないという欠点があります。  たとえば、美容整形の手術をしたあと、抜糸日までビザが持たずに1回帰国したあと、抜糸する為にまた来日される人も、けっこういらっしゃいました。  また、前回も書いた通り、旅行会社のプランに付いているホテルでは到底満足していただけないお客様がいます。キャンセルもできない仕組みですので、そのホテルをほったらかしのまま、5つ星のホテルに宿泊するっというパターンが出来上がっています。 ■医療滞在ビザと国際医療交流コーディネーター  「医療滞在ビザ」をとって頂いた場合、そのような無駄がなくなります。この「医療滞在ビザ」は、有効期限は最長3年で、1回の来日当たり、最長で6カ月滞在できます。中国人であると、観光ビザできた場合通常は滞在期間が15日以内です。  医療滞在ビザを取得する場合、登録された身元保証機関(国際医療交流コーディネーターか登録旅行会社)に連絡し、受診等のアレンジについて依頼することとなります。弊社も先日晴れて国際医療交流コーディネーター認定されたわけですが、コーディネーターは実際どのようなことをするのでしょうか。大まかに説明するとこうです。 ・患者様と医療機関のマッチング ・医療ビザ取得のサポート ・医療通訳、一般通訳派遣 ・来日から帰国までのトータルサポート  要するにビザ取得のサポートはもちろん、患者様が中国にいらっしゃる時から日本に来て治療を受けている時に、日本を外国だと思わせない安心のコールサービス、頼まれればホテル・観光の手配、美味しいランチのお店にもお連れします。24時間、友達のように悩み相談に乗ったり、場合によってはコンビニにサンドイッチを買いに行きます。さらにお客様がきちんと帰国されたことを確認し、帰国後の日本医療機関とのやり取りのフォローまで任せていただけます。 ■中国人富裕層からの需要大  さて、実際に中国からの需要があるでしょうか。  野村研究所が中国の一般人を対象とし調査した「日本の医療サービスに対する利用意向」では、日本の医療サービスに対して、回答者の74.5%が「利用してみたい」と回答しました。一方、「利用したくない」は13.5%、「わからない/知らない」は12.0%でした。すなわち、日本の医療サービスの需要は多いにあると言えます。  また、経済産業省にのせてある外国人患者からの問い合わせ件数で一番多いものは中国で、ほぼ半数に及びます。ちなみに、下のグラフで症例別問い合わせ件数をみると「がん治療」、「検診・健診」、「整形外科」を合わせると全体の半数ほどですが、中国人富裕層はほぼこの3つを理由に来日しています。  このように、中国人患者様からの日本医療の受診希望はあり、実際にも観光ビザで来日し、その短い時間で健康診断や小さな手術を受けられてきたわけです。しかし医療滞在ビザが取得できるようになった今、富裕層の方には医療滞在ビザをとっていただき、余裕をもって、受診・治療を受けていただきたい、そして日本経済も潤していただこうではないですか。 ■日本のお医者様の本音  この医療滞在ビザですが、以前は日本医療現場から熱く歓迎されるものではない、というより逆に迷惑がられる傾向がありました(今もないとはいえませんが)。外国人患者様といえば、苦手・うるさい・日本語通じない、という印象があるようで、そうなってくると医療に必要な時間は倍以上にもあるでしょう。敬遠されることは必然といえます。  ところが近年は医療機関も国際化に向かっているのです。2020年開催予定のオリンピックの影響もあって、外国人患者様を積極的に受け入れるところが増えてきました。通訳のできる看護師を募集したり、規模が小さな病院では通訳を外注したりして外国人患者様を診療するところも見受けられます。  海外在住の患者様が日本で診療・治療を受ける為には、医療滞在ビザが必要です。  ビザ取得に「国際医療交流コーディネーター」の存在はかかせません。医療機関とコーディネーターはお互いに協力し合っていけば、近い将来、「医療滞在ビザ」で、もっと開けた日本医療を見られるかもしれません。(執筆者:夏川 浩 提供:中国ビジネスヘッドライン)
今日、中国人富裕層は日本が好きで、日本に来て、日本に多額のお金を落として行っていることは前回の記事で既に書かせて頂きました。
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2014-07-16 13:00