生化学工業は下値固め完了して強基調に転換

  関節機能改善剤アルツが主力の生化学工業 <4548> の株価は、5月中旬~6月中旬の安値圏1100円台で下値固めが完了し、切り返しの展開となった。7月7日と8日には1296円まで上伸した。その後も1200円台後半の水準で堅調に推移している。強基調に転換して出直りの流れに変化はないだろう。なお7月31日に第1四半期(4月~6月)の業績発表を予定している。   国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け関節機能改善剤スパルツ、米国向け単回投与関節機能改善剤ジェル・ワン、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、およびLAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。高齢者人口増加を背景にアルツおよびジェル・ワンの需要拡大が期待される。   12年8月に当社が勝訴したジェル・ワン特許侵害訴訟に関しては、米ジェンザイム社が13年10月に提起した連邦巡回区控訴裁判所への控訴を14年1月に取り下げたため、当社および米ジンマー社(米国におけるジェル・ワンの独占販売代理店)の勝訴が確定した。   09年3月策定の「生化学工業10年ビジョン」に基づいて、研究開発は糖質科学分野に焦点を絞り、医療ニーズが高い新製品の上市を目指している。開発中の新薬としては、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI-6603(コンドリアーゼ)、アルツの腱・靭帯付着部症の適応症追加SI-657、変形性膝関節症改善剤SI-613、ドライアイ治療剤SI-614、関節リウマチ治療剤SI-615などがある。   SI-6603については、14年1月に国内で製造販売承認申請した。米国では実施中の第Ⅲ相臨床試験の進捗に注力する。また14年5月には、ドライアイを適応症とする点眼剤SI-614の米国における第Ⅱ・Ⅲ相臨床試験を開始している。   今期(15年3月期)連結業績見通し(5月13日公表)は売上高が前期比1.6%減の291億50百万円、営業利益が同44.3%減の27億50百万円、経常利益が同28.5%減の42億円、純利益が同27.3%減の34億50百万円で、配当予想は前期と同額の年間26円(第2四半期末13円、期末13円)としている。   売上面では、米国向け関節機能改善剤ジェル・ワンや中国向けアルツの数量は順調に増加するが、一方で国内は、関節機能改善剤アルツの市場全体がやや伸び悩み傾向であり、薬価改定も影響する。また米国向け関節機能改善剤スパルツは前期の販売提携先での在庫積み増しの反動影響を受けるため、全体として減収見込みとしている。想定為替レートは1米ドル=102円としている。   利益面では、営業外収益で受取ロイヤリティーが増加するが、新生産設備稼働に伴う減価償却費の増加、研究開発費の増加、販売関連費用の増加などで減益見込みとしている。研究開発費は同10.8%増の73億円の計画だ。ただし会社見通しには保守的な印象も強く、上振れ余地があるだろう。   株価の動きを見ると、5月中旬~6月中旬の安値圏1100円台で下値固めが完了して切り返しの展開となった。7月7日と7月8日には1296円まで上伸した。その後も概ね1200円台後半の水準で堅調に推移している。調整が一巡して出直りの流れに変化はないようだ。   7月17日の終値1275円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS60円73銭で算出)は21倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間26円で算出)は2.0%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS1140円48銭で算出)は1.1倍近辺である。週足チャートで見ると26週移動平均線が一旦は戻りを押さえる形になったが、日足チャートで見ると右肩上がりの25日移動平均線が接近して動意のタイミングのようだ。強基調に転換して出直り展開だろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
関節機能改善剤アルツが主力の生化学工業<4548>(東1)の株価は、5月中旬~6月中旬の安値圏1100円台で下値固めが完了し、切り返しの展開となった。
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2014-07-18 09:00