日本マニュファクチャリングサービスは下値切り上げの流れに変化なし
製造請負大手の日本マニュファクチャリングサービス <2162> (JQS)の株価は、5月の直近安値328円から切り返しの展開となり、パナソニック <6752> からの電源事業譲受契約の締結も好感して、6月27日には485円まで上伸する場面があった。その後は上げ一服の形だが、下値切り上げの流れを継続している。強基調へ転換した形であり、収益改善基調を評価して4月の戻り高値515円を試す展開だろう。
製造請負・派遣のIS(インラインソリューション)事業、修理・検査受託のCS(カスタマーサービス)事業、技術者派遣のGE(グローバルエンジニアリング)事業、子会社の志摩グループとTKRグループが展開する開発・製造受託のEMS(エレクトロニクス・マニュファクチャリング・サービス)事業を展開している。
基本コンセプトとして、日本、中国、アセアン諸国における人材ビジネス事業とEMS事業の融合によるトータルソリューションサービス「neo EMS」を掲げている。製造アウトソーシング企業NO.1を目指す戦略に大きな変化はないが、サービスの一段の高付加価値化に向けて開発・設計といった製造業の上流プロセス分野の機能を強化し、単なる製造アウトソーサーから、キーテクノロジーを有して技術競争力を備えた企業グループへの変革を進める方針だ。
第1弾として13年10月、TKRが日立メディアエレクトロニクスの電源事業、トランス事業、車載チューナー事業、映像ボード事業を譲り受け、水沢工場(岩手県奥州市)を取得した。さらに第2弾として14年3月、パナソニックの車載向けを除く電源および電源関連部品事業(高圧電源、低圧電源、マグネットロール、トランス)を譲り受ける基本合意書を締結し、6月26日に事業譲受契約を締結した。事業譲受期日は14年10月1日(予定)で、受け皿会社となるパワーサプライテクノロジーの株式14.9%をパナソニックが保有する。
日立メディアエレクトロニクスおよびパナソニックからの事業譲受により、当社グループの電源事業は国内電源メーカー上位に匹敵する規模となる。電源に関する技術ノウハウの蓄積・融合を図り、電源関連事業を当社グループのキーテクノロジー分野として、LED照明、空気清浄器、エアコン、複写機向けなどに新規顧客開拓を推進するとともに、EMS事業の高付加価値化も推進する戦略だ。
中国での事業展開に関しては、中国の労働政策が派遣から請負に転換する見込みとなった。14年3月施行の「中国労務派遣暫定規定」において、使用する派遣労働者の数は派遣先企業の労働者総人数の10%を超えてはいけない等が規定されることになった。派遣労働者数が限定されるため、中国内で派遣労働者を多く活用しているメーカー各社にとっては、派遣に代わる外部リソースの活用が必要になり、解決策として日本式の製造請負が注目されている。
そして中国労務派遣専門委員会で製造請負(承欖)をルール化するためのプロジェクトが発足し、当社および子会社の北京中基衆合国際技術服務有限公司がプロジェクトに参画することになった。このため中国の製造業においては今後、製造請負が主流となって市場拡大が予想され、プロジェクトに参画している当社の競争優位性が確立できる見込みだ。
今期(15年3月期)の連結業績見通し(5月15日公表)は、売上高が前期比16.5%増の488億円、営業利益が4億90百万円(前期は6億43百万円の赤字)、経常利益が5億10百万円(同1億75百万円の赤字)の黒字化見込みで、純利益は負ののれん発生益一巡で同50.7%減の3億20百万円としている。配当予想は前期と同額の年間3円(期末一括)としている。
人材ビジネス事業は、国内ISでは採用強化、海外ISではメーカーからの人材転籍などで在籍数が増加して増収増益見込みだ。EMS事業は、前期営業損益悪化の主因となった中国における日系メーカーの生産減少や人件費上昇といった一過性要因が解消し、オペレーション改善の効果、日立メディアエレクトロニクスから譲り受けた案件の本格稼働、および海外増産も寄与して営業損益が大幅に改善する。
さらに来期(16年3月期)は、日立メディアエレクトロニクスおよびパナソニックから譲り受けた電源関連事業が本格寄与する。収益改善基調だろう。
株価の動き(14年1月1日付で株式100分割)を見ると、5月21日の直近安値328円から切り返しの展開となり、パナソニックからの電源事業譲渡契約の契約も好感して6月27日には485円まで上伸する場面があった。その後は上げ一服の形だが、2月安値283円、3月安値287円、4月安値325円、5月安値328円、6月安値376円、そして7月1日安値418円と下値切り上げの流れを継続している。収益改善基調を評価する動きのようだ。
7月17日の終値432円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS31円30銭で算出)は13~14倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間3円で算出)は0.7%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS451円79銭で算出)は1.0倍近辺である。日足チャートで見ると25日移動平均線、週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインの形となった。強基調へ転換した形であり、収益改善基調を評価して4月14日の戻り高値515円を試す展開だろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
製造請負大手の日本マニュファクチャリングサービス<2162>(JQS)の株価は、5月の直近安値328円から切り返しの展開となり、パナソニック<6752>からの電源事業譲受契約の締結も好感して、6月27日には485円まで上伸する場面があった。
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2014-07-18 09:15