モーニングスター、15年3月期第1四半期で営業利益が過去最高更新

 モーニングスター <4765> は2014年7月23日、2015年3月期第1四半期連結決算を発表した。売上高は10億51百万円(前年同期比7.3%)、営業利益は3億25百万円(同14.9%増)、経常利益は3億35百万円(同9.5%増)だった。営業利益は四半期決算で過去最高を更新した。同社代表取締役社長の朝倉智也氏は、「昨年度の第1四半期と比較すると、公募投信への資金流入額は55%減、新規設定本数も28%減、また、東証1部の売買代金も39%減と、市場環境は決して良いものではなかった。事業ポートフォリオが分散しているため、証券市況が厳しい環境の中でも増収増益の決算を残すことができた」と語った。(写真は、決算発表に臨むモーニングスター代表取締役社長の朝倉智也氏。サーチナ撮影)  主なサービス別の売上高は、ファンドデータ部門が1億49百万円で前年同期比37%増。金融機関の販売員向けにタブレット端末を通じて提供しているファンドデータが前年同期比71%増と大きく伸びた。また、IRカンファレンスの開催(5月31日)などでIR支援が145%増、確定拠出年金関連が17%増。子会社のSBIアセットマネジメントの運用受託報酬が約3億40百万円で前年同期比45%増となったことも収益を引き上げた。  大きく伸びたタブレット端末を通じたファンドデータについては、タブレットアプリの提供件数が14年6月末で42金融機関に1万2224台となった。13年6月末に6885台だったことと比較して約2倍の提供台数になっている。また、SBIアセットの運用ファンドの純資産額は13年6月末に993億円だったものが、14年6月末は1129億円へと伸びた。  一方、Webコンサルティングは26%減収。子会社のSBIサーチナのウェブ広告は35%減収、中国株データも22%減収だった。  Webコンサルティングは14年4月末にウェブ関連サービス・ツールの比較サイトを新設。企業のWeb担当者向けに総合的なソリューション提案ができる体制に改め、販管費を抑えることで、減収ながら営業利益は前年同期比で約3.5倍に拡大した。SBIサーチナについては、14年9月1日付けで吸収合併することを決定。モーニングスターの投資信託・ETF、日本株、米国株の情報に、サーチナの中国株情報を合わせ、総合金融情報の提供を行う体制に組み入れる。  朝倉氏は、同社の事業ポテンシャルとして、NISA(少額投資非課税制度)拡充策によって、「貯蓄から投資へ」の動きが促されるとし、第三者の立場から情報提供や投資助言ができるモーニングスターの優位性が発揮されると語った。  この傾向は、確定拠出年金や、急速に拡大しているラップ口座など、ポートフォリオ運用を意識する分野の拡大によって、「モーニングスターの世界27拠点のデータを活用した投資助言、投資教育・投資アドバイスが活きる」としている。特に、確定拠出年金については「米国で圧倒的No.1の投資教育サービスを提供する米モーニングスターのノウハウを活用することが可能。また、家計簿ツール『マネールック』を確定拠出年金採用企業に提供するなど、米国での経験を活かした展開も可能になる」と語っている。  さらに、タブレットを中核とした金融機関向けの情報ネットワークが「インフラ」として意識されるほどに拡大してきたことについても、収益の安定成長につながるとの見通しを示した。タブレットについては、「近い将来に、3万台のネットワークをめざして拡大したい」(朝倉氏)とした。(取材・編集担当:徳永浩)
モーニングスターは2014年7月23日、2015年3月期第1四半期連結決算を発表した。(写真は、決算発表に臨むモーニングスター代表取締役社長の朝倉智也氏。サーチナ撮影)
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2014-07-23 19:30