まだ業績相場の方向感が定まらない「猫の目」展開を好機到来のモメンタム株で各個突破=浅妻昭治
<マーケットセンサー>
いまさらながら、日本電産 <6594> の影響力は大きい。同社は、7月23日に今3月期第1四半期(1Q)決算の開示に合わせて3月通期業績の上方修正と増配を発表、好感して24日の株価は、年初来高値を更新したのも束の間、大引けには前日比106円安と売られ、翌日の前週末25日のリバウンド幅も69円にとどまった。これで3月期決算会社の1Q決算発表をキッカケに本格スタートすると期待された業績相場の先行きが、「猫の目」のように方向感が定まらなくなり、にわかに不透明化させてしまったからである。
願ってもない業績上方修正にもかかわらず、株価の反応が期待ほどではなかったのは同社株にとどまらない。安川電機 <6506> は、今期第2四半期(2Q)累計業績を、東京製鉄 <5423> は、3月通期業績を、日本航空電子工業 <6807> も、3月通期業績をそれぞれ上場修正したが、株価反応度は限定的で、航空電子に至っては日電産と同様に急落したあとの戻りも小幅にとどまった。その後、今期1Q業績を発表した信越化学工業 <4063> とファナック <6954> が、いずれも好決算を評価して株価も急伸したが、これが中盤以降の好業績発表、業績相場本格化につながるかは、まだまだ予断を許してくれそうもない。
これは主力株が、4~6月期決算を発表している米国市場でも同様で、業績評価を巡って高安はマチマチで、日米両市場の業績相場は、売り買いの攻防が目まぐるしく変化する「猫の目」展開を余儀なくされ、方向感はまだ定まっていない。こうなると勢い、イエレンFRB(米連邦準備制度理事会)議長の割高との警鐘アドバイスにもかかわらず、値動きの大きいモメンタム株シフトが強まることになる。前週末25日の東京市場でも、日電産などの小動きを尻目に消費者金融株のアイフル <8515> 、自動車自動走行関連のクラリオン <6796> 、ロボット関連のCYBERDYNE <7779> (東マ)などが、全市場の売買代金ランキングの上位の顔を並べた。
3月期決算会社の1Q決算発表はスタートしたばかりの序盤で、今後の決算発表動向次第では、夏相場のメーン・シナリオの業績相場が、本格発進する可能性も捨て切れない。しかし、もう一方では、ウクライナやパレスチナ情勢の緊迫化などで相場全般が膠着感を強め、夏枯れ観測も出ているなか、サブ・シナリオのモメンタム株シフトが強まることも十分に予想されることになる。
しかも、このモメンタム株シフトでは、7月26日に新顔が戦列参加するビッグ・ニュースが相次いで報道され、選り取り見取りの願ってもない展開となりそうなのである。NHKの26日の朝のニュースでは、北海道・日高沖の海底でメタンハオドレートが賦存する可能性がある地質構造を確認したと伝え、同じく26日付けの日本経済新聞朝刊では、政府が2020年までに全国3カ所でカジノ開設を認める検討に入ったと観測報道したからだ。これに加えて梅雨明け後の一気の猛暑到来がある。7月25日の気象庁公表の3か月予想でも、北・東日本の平均気温が、8~9月に平均並か高い確率があるしたことが意識され、モメンタム株のバラエティは一挙に増し、このローテーション展開も可能となるはずだ。このメタンハオドレート関連株、カジノ関連株、猛暑関連株にアプローチすれば、これまで何回も示現した高人気相場の再現を謳歌できることになりそうだ。(執筆者:浅妻昭治 株式評論家・日本インタビュ新聞 編集長)
いまさらながら、日本電産<6594>(東1)の影響力は大きい。同社は、7月23日に今3月期第1四半期(1Q)決算の開示に合わせて3月通期業績の上方修正と増配を発表、好感して24日の株価は・・・。
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2014-07-28 13:30