テラは急反発後の利益確定売り一巡

  バイオベンチャーのテラ <2191> (JQS)の株価は、5月安値978円から7月2日の2187円まで切り返した。その後7月18日の1520円まで一旦調整したが、足元では急反発後の利益確定売り一巡感を強めている。強基調に転換した形であり、中期成長力を評価して出直りの流れに変化はないだろう。   東京大学医科学研究所発のバイオベンチャーで、細胞医療事業(樹状細胞ワクチン「パクセル」を中心とした独自開発のがん治療技術を契約医療機関に提供)を主力に、医療支援事業(研究機関・医療機関から受託する細胞加工施設の運営・保守管理サービス、細胞培養関連装置の販売、治験支援サービス)、および医薬品事業(樹状細胞ワクチン「パクセル」の薬事承認取得に向けた開発活動)を展開している。   細胞医療事業は症例数に応じた収入が収益柱で、13年12月末時点で契約医療機関数は全国33カ所、契約医療機関における累計症例数は約7600症例に達している。14年1月に白山通りクリニック(東京都江東区)、14年3月に東京銀座シンタニ歯科口腔外科クリニックと連携契約を締結して、契約医療機関数は全国35カ所となった。   成長に向けた戦略も加速している。13年4月iPS細胞による再生医療実用化を目指すヘリオスに出資、13年5月がん新薬を中心とした治験支援事業に参入するため子会社タイタンを設立、13年7月アンジェスMG <4563> と子宮頸がんの前がん病変治療ワクチンの共同研究・開発基本契約を締結、13年10月北里研究所と共同で肝細胞がんに対する樹状細胞ワクチン療法の第Ⅰ相臨床試験を開始、13年12月iPS細胞を利用したがん免疫細胞療法の開発に向けてヘリオスと業務提携した。   さらに14年1月樹状細胞ワクチン「バクセル」の膵がんにおける再生医療等製品としての薬事承認取得を目指して子会社テラファーマを設立、14年2月ゲノム診断支援事業に向けてゲノム解析ソフトウェア開発のジナリスと合弁子会社ジェノサイファーを設立、14年4月組織培養用培地のパイオニアであるコージンバイオに5.6%出資して資本業務提携した。   7月1日には、九州大学と共同開発・出願したナチュラルキラー(NK)細胞「ZNK細胞」に関する2つの技術に関して、日本での特許が成立したと発表している。また7月10日には、医療法人社団医創会(東京都港区)と共同研究契約を締結し、セレンクリニック(東京都港区)と共同で、がん患者を対象とする新規がん抗原サーバイビンペプチドおよびMAGE-A4ペプチドを用いた樹状細胞ワクチン「バクセル」の臨床試験を開始すると発表した。   今期(14年12月期)連結業績見通し(2月7日公表)は、売上高が前期比35.7%増の20億90百万円、営業利益が1億35百万円の赤字(前期は23百万円の黒字)、経常利益が1億56百万円の赤字(同24百万円の赤字)、純利益が1億54百万円の赤字(同58百万円の赤字)としている。   樹状細胞ワクチン「バクセル」の薬事承認取得に向けた研究開発費増加などで営業損益が悪化する見込みだが、売上高は症例数増加や業容拡大などで増収見込みとしている。樹状細胞ワクチン「バクセル」薬事承認取得に向けた開発を加速させており、中期成長に対する期待感が高まる。   株価の動きを見ると、5月の年初来安値978円から7月2日の2187円まで切り返した。その後は利益確定売りが優勢となって7月18日の1520円まで一旦調整したが、7月23日と7月24日には1725円まで反発する場面があり、急反発後の利益確定売り一巡感を強めている。再動意の構えのようだ。   7月29日の終値は1614円だった。日足チャートで見ると25日移動平均線を割り込んだが、週足チャートで見ると26週移動平均線近辺で下げ渋る動きとなった。さらに上向きに転じた13週移動平均線が接近してサポートラインとなりそうだ。強基調に転換した形であり、中期成長力を評価して出直りの流れに変化はないだろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
バイオベンチャーのテラ<2191>(JQS)の株価は、5月安値978円から7月2日の2187円まで切り返した。
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2014-07-30 09:15