DNAチップ研究所は下値固めが完了して再動意のタイミング

  バイオベンチャーのDNAチップ研究所 <2397> (東マ)の株価は、5月安値680円から6月の927円まで切り返した後、戻り一服となって概ね800円台前半の水準で推移している。ただし7月24日には887円まで上値を伸ばす場面があった。下値固めが完了したようだ。中期成長力を評価して再動意のタイミングだろう。なお8月1日付けで東証2部市場に市場変更となる。   将来の個人化医療や未病社会の実現を見据えた遺伝子発現プロファイル収集・統計受託解析など、DNAチップ(DNAマイクロアレイ)技術の事業化を目指す研究開発企業である。現在は研究受託事業(大学病院・研究機関や製薬・食品メーカー向けDNAチップ関連の受託実験・解析・統計処理サービスなど)を主力として、商品販売事業も展開している。   時々刻々と変化する体調変化や加齢とともに起こる免疫変化などを遺伝子検査するRNAチェック(血液細胞遺伝子発現マーカー検査)に強みを持ち、中期成長に向けて次世代シークエンス受託解析サービスなど研究受託のメニューを充実させるとともに、RNAチェックによる遺伝子解析検査サービス、独自開発パッケージソフトウェアによる診断支援サービス、健康モニタリングサービスなどの診断関連事業を収益柱に育成する方針だ。   臨床研究用データベース「iCIS」構築による診断支援サービス、高校・大学生がDNAチップ解析を体験できる教育用DNAチップ教材「ハイブリ先生」、関節リウマチのスムーズな診察をサポートする問診パッケージソフト「iRIS」、「リウマチェック(関節リウマチの薬剤効果予測検査)」の多剤効果予測、乳癌の再発リスクを予測する乳癌予後予測キット「MammaPrint」(導入商品)などの拡販を強化し、さらに「免疫年齢診断サービス」の拡充、「血中DNA変異測定サービス(肺がん患者を対象とした組織由来DNA変異検出)」のサービス開始に向けた準備も進めている。   戦略商品に関しては大病院での人間ドックへの採用を働きかけ、中長期的には一般健康診断への採用拡大も目指す方針だ。さらに大腸がん・悪性神経膠腫の術後予後予測、免疫年齢・肥満・うつ病・疲労・アルツハイマーなどの診断関連マーカーの開発・事業化、医薬品開発と一体化した診断マーカー開発(コンパニオン診断薬開発支援)、再生医療支援事業(培養細胞の安全性評価系)なども強化して業容を拡大する。14年3月には「神経膠腫予後予測方法、およびそれに用いるキット」に関する国内特許を取得した。   また14年6月には、京都大学大学院医学研究科附属ゲノム医学センターと当社の共同研究チームが、日本人集団における遺伝子発現調節に関わるゲノムDNA配列変異(SNP)を全ゲノム領域で探索し、データベースとして公開した。ヒトにおけるゲノムDNA配列の違いが、表現型の多様性や疾患感受性にどのようにして影響を与えるのかというメカニズムの解明につながるとしている。   7月24日に発表した今期(15年3月期)第1四半期(4月~6月)の業績(非連結)は、売上高が前年同期比20.8%減の27百万円、営業利益が75百万円の赤字(前年同期は53百万円の赤字)、経常利益が75百万円の赤字(同53百万円の赤字)、純利益が75百万円の赤字(同53百万円の赤字)だった。前年同期との比較では減収となって赤字幅が拡大したが、受注ベースでは順調に推移しているようだ。   通期の業績(非連結)見通しは前回予想(4月24日公表)を据え置いて、売上高が前期比26.1%増の4億40百万円、営業利益が2百万円(前期は44百万円の赤字)、経常利益が2百万円(同44百万円の赤字)、純利益が1百万円(同45百万円の赤字)としている。   研究受託事業でマイクロアレイ受託解析サービス、次世代シークエンス受託解析サービス、診断支援および関連ビジネスの拡大に注力し、増収効果で営業黒字化を目指す。受託解析や診断事業の売上構成比上昇、採算性の高いメニューの重点拡販、さらに作業効率の改善などで粗利益率の改善が期待される。   さらに業績改善推進プランとして「研究開発から事業化への加速」を掲げ、提案型研究受託メニューの強化(マイクロアレイ解析と新規受託サービス)、診断関連事業の拡充(リウマチ多剤効果判定、臨床研究用データベース「iCIS」、診断マーカー、RNAチェックなど)、販売促進のためのアライアンス強化、海外展開(米国の大学との共同研究)を推進する方針だ。   なお7月25日に東証2部市場指定を発表した。東証マザーズ上場後10年を経過した上場会社の上場市場の選択に基いて東証2部市場を選択した。14年8月1日付けで市場変更となる。   株価の動き(13年10月1日付けで株式100分割)を見ると、5月19日の年初来安値680円から6月16日の927円まで切り返した後、戻り一服となって概ね800円台前半の水準で推移している。ただし7月24日には887円まで上値を伸ばす場面があった。短期調整が一巡して再動意の構えのようだ。   7月29日の終値は837円だった。日足チャートで見ると6月末に割り込んだ25日移動平均線をほぼ1ヶ月ぶりに回復している。また週足チャートで見ると13週移動平均線が下値を支え、戻りを抑えていた26週移動平均線突破の動きを強めている。下値固めが完了して再動意のタイミングだろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
バイオベンチャーのDNAチップ研究所<2397>(東マ)の株価は、5月安値680円から6月の927円まで切り返した後、戻り一服となって概ね800円台前半の水準で推移している。
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2014-07-30 09:30