アートスパークHDは調整が一巡して反発のタイミング

  グラフィクス制作支援や電子書籍関連のアートスパークホールディングス <3663> (東2)の株価は、6月9日の612円から反落して調整局面だが、7月29日には前日比21円(4.82%)高の457円まで反発する場面があった。第2四半期累計(1月~6月)の営業赤字に対する反応は限定的のようだ。調整が一巡して反発のタイミングだろう。   グラフィクス技術のセルシスとエイチアイが12年4月に統合した持株会社で、電子書籍ビューア「BS Reader」やグラフィクスソリューションなどのコンテンツソリューション事業、グラフィクスコンテンツ制作支援ツールなどのクリエイターサポート事業、3Dグラフィックス描画エンジンなどのUI/UX事業を展開している。アプリケーション事業は前期(13年12月期)から戦略的に事業縮小を進めている。   電子書籍ビューア「BS Reader for Browser」は、インフォコム <4348> グループのアムタスの電子書籍配信サービス「ekubostore」や、ソフトバンクモバイルが提供するスマートフォン向け総合電子書籍サービス「スマートブックストア」などに採用され、利用されている電子書籍配信サービス数は14年6月末時点で800サービス超となった。   クリエイターサポート事業では、マンガ制作ソフト「ComicStudio」が01年の販売開始から世界累計出荷本数が160万本を超えている。マンガ・イラスト制作ソフト「CLIP STUDIO PAINT」の出荷本数は14年3月に40万本を超えた。クリエイターの創作活動を支援するサイト「CLIP」では14年6月末時点の登録者数が41万人となった。   戦略分野に対して積極投資を推進している。13年12月にエイチアイがロボットカー関連技術を持つZMPの第三者割当増資を引き受け、14年2月にエイチアイがエイチアイ関西の株式を取得、14年4月にエイチアイが組み込み機器向けソフトウェア開発のユーアイズデザインの株式を取得した。   7月25日発表の今期(14年12月期)第2四半期累計(1月~6月)連結業績は、売上高が前年同期比22.7%減の14億37百万円となり、営業利益は2億18百万円の赤字(前年同期は17百万円の黒字)、経常利益は2億29百万円の赤字(同28百万円の黒字)、純利益は2億26百万円の赤字(同17百万円の黒字)だった。   UI/UX事業でのモバイル向けロイヤリティ収入の減少、営業外費用での為替差損の計上、持分法適用会社であるガラットに対する持分法投資損失の計上などが影響した。セグメント別売上高はコンテンツソリューション事業が同8.3%減の5億86百万円、クリエイターサポート事業が同21.6%増の3億52百万円、UI/UX事業が同44.2%減の4億53百万円だった。   通期の連結業績見通しは前回予想(1月31日公表)を据え置いて、売上高が前期比2.4%増の37億75百万円、営業利益が63百万円(前期は69百万円の赤字)、経常利益が36百万円(同68百万円の赤字)、そして純利益が同39.3%減の26百万円としている。   第2四半期累計では営業赤字だったが、通期ベースではコンテンツソリューション事業での法人向けグラフィクス関連強化、クリエイターサポート事業での「CLIP STUDIO」シリーズ拡販、UI/UX事業での関西圏営業強化、さらに製品開発の効率化や原価管理の徹底などで増収営業黒字化を見込んでいる。グループ共通コアエンジンの開発にも着手する方針だ。純利益は法人税等の関係で減益見込みだ。   株価の動きを見ると、急騰と急反落を繰り返す傾向も強いが、3月の年初来安値307円から、4月安値332円、5月安値372円と下値を切り上げている。足元は6月9日の612円から反落して調整局面だが、7月29日には前日比21円(4.82%)高の457円まで反発する場面があった。第2四半期累計の営業赤字に対する反応は限定的のようだ。   7月29日の終値452円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS3円90銭で算出)は116倍近辺、実績PBR(前期実績の連結BPS340円55銭で算出)は1.3倍近辺である。週足チャートで見ると26週移動平均線近辺で下げ渋る動きだ。調整が一巡して反発のタイミングだろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
グラフィクス制作支援や電子書籍関連のアートスパークホールディングス<3663>(東2)の株価は、6月9日の612円から反落して調整局面だが、7月29日には前日比21円(4.82%)高の457円まで反発する場面があった。
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2014-07-30 09:30