ジャパンフーズはエルニーニョ発生遅れによる猛暑が追い風、割安感も支援材料で出直り本格化の可能性
飲料受託生産大手のジャパンフーズ <2599> の株価は、5月安値から反発して概ね1200円台前半の水準で推移している。エルニーニョ現象による冷夏予想なども警戒されてやや戻りの鈍い展開だったが、エルニーニョ発生遅れによる猛暑が追い風となって出直りの動きが本格化しそうだ。指標面の割安感も支援材料だろう。
伊藤忠商事 <8001> 系で飲料受託生産の国内最大手である。品目別には炭酸飲料と茶系飲料を主力として、コーヒー飲料、果汁飲料、機能性飲料、酒類飲料、ファーストフード店のディスペンサーでサービスされる業務用濃縮飲料(ウーロン茶、アイスコーヒーなど)を製造している。主要得意先はアサヒ飲料、キリンビバレッジ、伊藤園 <2593> 、サントリー食品インターナショナル <2587> などの大手飲料メーカーで、容器別ではペットボトルが主力だ。
新規ビジネス分野では、国内で水宅配事業を展開するウォーターネット、中国で飲料受託製造事業を展開する東洋飲料(常熱)有限公司への出資比率を引き上げている。自社ブランド商品に関しては、本社工場がある千葉県産の農林水産物を使用した商品の開発に取り組み、千葉県を中心に販売している。
また中期経営計画に基づく積極投資で、12年7月に本社工場で世界最新鋭の炭酸・非炭酸兼用無菌充填ライン(Eライン)が稼動し、14年3月には既存大型ペットボトルライン(Tライン)も設備更新で炭酸・非炭酸兼用無菌充填ライン化した。
7月25日に発表した今期(15年3月期)第1四半期(4月~6月)の業績(非連結)は売上高が前年同期比14.6%減の89億32百万円、営業利益が同22.1%減の6億37百万円、経常利益が同21.2%減の6億32百万円、純利益が同18.6%減の4億01百万円だった。
前年の好天の反動影響や4月の消費増税の反動影響などで飲料業界全体の販売数量が減少したことに加えて、13年10月から実施した缶ラインの合理化に伴う製造数量の減少で減収減益となった。受託製造数量は13万9906キロリットル(前年同期比13.5%減)、1344万6千ケース(同15.0%減)だった。
通期の業績(非連結)見通しは前回予想(4月24日公表)を据え置いて、売上高が前期比6.4%増の341億円、営業利益が同36.2%増の12億70百万円、経常利益が同37.6%増の13億円、純利益が同55.1%増の7億50百万円、そして配当予想は前期と同額の年間27円(第2四半期末10円、期末17円)としている。
受託製造数量は主力の炭酸飲料や茶系飲料が好調に推移する見込みだ。増収効果に加えて、加工賃売上の増加、炭酸・非炭酸兼用の無菌充填ラインによる増産・生産性上昇などで、売上総利益率が上昇する。純利益は特別損失の一巡も寄与する。エルニーニョの発生遅れで冷夏予想から一転して猛暑となったことも追い風だろう。
14年4月に中期経営計画「JUMP2015」のレビューと見直しを発表した。成長に向けた基本戦略をコアビジネス(国内飲料受託製造事業)の収益拡大、新規ビジネス(海外事業、水宅配事業、自社ブランド商品、その他)の着実な推進、成長戦略を支える経営基盤の強化として、定量計画(イメージ)は15年度連結ベースで売上高390億円、営業利益15億50百万円、経常利益15億円、純利益10億円、ROE11.4%を掲げている。中期的に収益拡大基調だろう。
株価の動きを見ると、5月21日の年初来安値1145円から反発し、6月中旬以降は概ね1200円台前半の水準で推移している。7月25日には第1四半期の減収減益を嫌気して1170円まで調整する場面があったが、翌7月28日には1200円台に戻した。第1四半期の減収減益を嫌気した売りは限定的のようだ。
7月29日の終値1214円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想のEPS155円51銭で算出)は7~8倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間27円で算出)は2.2%近辺、前期実績PBR(前期実績BPS1485円56銭で算出)は0.8倍近辺である。日足チャートで見ると25日移動平均線を回復し、また週足チャートで見ても13週移動平均線を回復した。猛暑効果に加えて指標面の割安感も支援材料であり、出直りの動きが本格化しそうだ。
飲料受託生産大手のジャパンフーズ<2599>(東1)の株価は、5月安値から反発して概ね1200円台前半の水準で推移している。
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2014-07-30 15:15