山下医科器械は減収減益見通しで売りが一巡して反発のタイミング

  医療機器商社の山下医科器械 <3022> の株価は、急騰した5月の年初来高値2120円から反落して1800円近辺で推移していたが、今期(15年5月期)の減収減益・減配見通しを嫌気して7月25日には1590円まで調整した。ただし1600円近辺では下げ渋り感を強めている。売りがほぼ一巡して反発のタイミングだろう。期初時点では保守的な業績見通しを公表する傾向が強く、上振れ余地があることも支援材料だ。   九州を地盤とする医療機器商社である。医療機器の販売・メンテナンス、医療材料・消耗品などの販売を主力として、子会社イーピーメディックは整形インプラントを製造販売している。   中期成長に向けて、九州最大の需要地である福岡県での市場シェア拡大を最重点戦略としている。医療機関向けSPD(病院医療材料管理業務)の契約施設数増加に対応するため、13年7月に福岡SPDセンター(福岡県福岡市)を新設し、鳥栖SPDセンター(佐賀県鳥栖市)との2拠点体制とした。   13年12月に判明した従業員による不正行為に関して、14年2月28日に独立行政法人国立病院機構から指名停止(14年2月28日~14年11月27日)および一般競争参加資格降格(14年11月28日~15年8月27日)の処分を受けた。当該処分の対象となる施設の13年5月期売上高は全社売上高の1割強としている。   不正行為の再発防止策に関して4月17日「再発防止策実施状況その1」、5月16日「再発防止策実施状況その2」、6月13日「再発防止策実施状況その3」を発表している。再発防止と信頼回復に向けて、実施状況については今後も随時報告する方針だ。   7月11日に発表した前期(14年5月期)の連結業績は、売上高が前々期比8.3%増の510億49百万円、営業利益が同58.4%増の8億37百万円、経常利益が同39.2%増の8億26百万円、純利益が同71.9%増の5億53百万円だった。5月16日に発表した増額修正値を上回る増収増益だった。配当予想については前回予想(5月16日に増額修正)から6円増額して年間56円(期末一括)とした。前々期との比較では8円増配となる。   独立行政法人国立病院機構から受けた指名停止の影響があったが、主要取引先の急性期病院の施設建替えや設備更新に伴う大型案件の受注が想定以上となり、SPD契約施設数の増加も寄与した。   医療機器販売事業の売上高は同8.3%増の507億72百万円だった。分野別に見ると、一般機器分野は超音波診断装置などの医療機器備品が増加して同9.7%増の97億56百万円、一般消耗品分野はSPD契約施設数増加に伴い同3.3%増の233億95百万円、低浸襲治療分野は内視鏡備品などの好調で同12.9%増の119億53百万円、メディカルサービス分野は病院建替えに伴う設備工事の受注増などで同1.6%増の36億43百万円、医療情報分野は医用画像情報システムの増加などで同75.7%増の20億23百万円だった。   今期(15年5月期)の連結業績見通しについては売上高が前期比9.2%減の463億48百万円、営業利益が同73.0%減の2億26百万円、経常利益が同62.3%減の3億11百万円、純利益が同68.9%減の1億71百万円、配当予想は同36円減配の年間20円(期末一括)としている。   独立行政法人国立病院機構の指名停止措置が上半期中継続すること、病院建替えなどの大型設備案件が減少することに加えて、償還価格の下落や消費増税の反動影響なども考慮して減収減益見込みとしている。ただし期初時点では入札案件などを見込まず、保守的な見通しを公表する傾向が強いだけに上振れ余地があるだろう。   株価の動きを見ると、前期業績・配当予想の増額修正を好感して急騰した5月の年初来高値2120円から反落して1800円近辺で推移していたが、今期の大幅減収減益・減配見通しを嫌気して7月25日には1590円まで調整した。ただし1600円近辺では下げ渋り感を強めている。失望売りがほぼ一巡した可能性があるだろう。   7月30日の終値1627円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS67円37銭で算出)は24~25倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間20円で算出)は1.2%近辺、実績PBR(前期実績の連結BPS2191円36銭で算出)は0.7倍近辺である。週足チャートで見ると26週移動平均線を割り込んだが、3月の年初来安値1465円水準まで下押す動きは見られない。失望売りがほぼ一巡して反発のタイミングだろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
医療機器商社の山下医科器械<3022>(東1)の株価は、急騰した5月の年初来高値2120円から反落して1800円近辺で推移していたが、今期(15年5月期)の減収減益・減配見通しを嫌気して7月25日には1590円まで調整した。
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2014-07-31 09:15