日本エンタープライズは戻り鈍いが下値固めは完了

  コンテンツ制作・配信の日本エンタープライズ <4829> の株価は、6月4日と7月9日に298円まで急伸する場面があったが、買いが続かず反落し、やや戻りの鈍い展開となった。足元は250円~260円近辺の小幅レンジで推移している。ただし5月安値210円水準まで下押す動きは見られない。下値固めは完了しているようだ。今期(15年5月期)の営業損益改善を評価して反発のタイミングだろう。   コンテンツ配信などのコンテンツサービス事業と、店頭アフィリエイト(広告販売)や企業向けソリューション(システム受託開発)などのソリューション事業を展開し、中国ではチャイナテレコムの携帯電話販売店運営と電子コミック配信サービスを手掛けている。配信コンテンツを自社制作して「権利を自社保有する」ビジネスモデルが基本戦略だ。   13年3月には音声通信関連ソフトウェア開発のandOneを子会社化した。また14年4月には子会社HighLabを設立した。ネイティブアプリを主としたスマートフォンゲームの開発を行うとともに、ライフスタイルアプリとの相互連携によるコンテンツプラットフォームへの発展を目指している。   14年6月には、インドネシア大手移動体通信キャリアのXL Axiata社が運営するアプリストア内のアプリ取り放題サービス向けに、スマートフォンアプリの提供を開始した。ローカライズした自社アプリを世界の各種プラットフォームに配信して、自社コンテンツ資産の2次利用を推進する方針だ。   7月9日に発表した前期(14年5月期)の連結業績(12月26日に投資有価証券売却益計上で純利益を増額、5月20日に売上高および利益を減額)は、売上高が前々期比9.1%増の45億08百万円、営業利益が同9.9%減の3億35百万円、経常利益が同13.1%減の3億40百万円、純利益が同23.1%増の4億37百万円だった。配当予想(5月20日に東証1部市場指定記念配当1円を増額)は年間3円(期末一括=普通配当2円+記念配当1円)とした。13年12月1日付の株式100分割を考慮すると実質的に前々期比1円20銭増配となる。   コンテンツサービス事業、ソリューション事業とも増収となり、高収益のキャリア定額制サービス向けコンテンツの好調で売上原価率は同2.7ポイント改善したが、広告宣伝費や人件費の増加で営業減益だった。   セグメント別に見ると、コンテンツサービス事業の売上高は同15.3%増の24億69百万円だった。キャリア定額制サービス向けコンテンツは、交通情報、ゲーム、ライフスタイルなどが増収だった。中国人気小説の電子コミック化による配信先拡大も寄与した。   ソリューション事業の売上高は同2.4%増の20億39百万円だった。企業向け受託開発が順調で、中国・上海の携帯電話販売の通期連結も寄与した。店頭アフィリエイト(広告販売)は第2四半期(9月~11月)に落ち込んだ影響で減収だったが、第3四半期(12月~2月)から回復傾向のようだ。   今期(15年5月期)の連結業績見通しは、売上高が前期比15.6%増の52億10百万円、営業利益が同23.7%増の4億15百万円、経常利益が同26.4%増の4億30百万円、純利益が同19.9%減の3億50百万円で、配当予想は前期と同額だが普通配当で年間3円(期末一括)としている。なお6月9日に投資有価証券売却益3億31百万円の計上を発表している。今期第1四半期(6月~8月)に特別利益として計上する予定だ。   コンテンツサービス事業では高収益のキャリア定額制サービス向けコンテンツが好調に推移する。子会社HighLabでのネイティブゲーム開発への取り組み強化や、自社コンテンツ資産の2次利用も順次寄与するだろう。ソリューション事業では店頭アフィリエイト(広告販売)の拡販を推進する。中国・上海での携帯電話販売については、キャリアの販売施策変更に影響されない収益構造の構築を目指し、大口法人への外販営業強化や効率的な人材配置などの施策を推進する。収益改善が期待されるだろう。   株価の動き(14年2月28日付で東証2部市場から東証1部市場へ指定替え)を見ると、6月4日と7月9日に298円まで急伸する場面があったが、買いが続かず反落してやや戻りの鈍い展開となった。足元は250円~260円近辺の小幅レンジで推移している。ただし5月安値210円水準まで下押す動きは見られない。下値固めは完了しているようだ。   7月31日の終値256円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS9円28銭で算出)は27~28倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間3円で算出)は1.2%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS111円20銭で算出)は2.3倍近辺である。週足チャートで見ると26週移動平均線が戻りを押さえる形だが、52週移動平均線がサポートラインのようだ。今期の営業損益改善を評価して反発のタイミングだろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
コンテンツ制作・配信の日本エンタープライズ<4829>(東1)の株価は、6月4日と7月9日に298円まで急伸する場面があったが、買いが続かず反落し、やや戻りの鈍い展開となった。
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2014-08-01 09:00