アライアンス・バーンスタインの債券CIO、投資家は緩やかな金利上昇に備えるべき

アライアンス・バーンスタイン・エル・ピーの債券部門最高投資責任者(CIO)兼ヘッドのダグラス・ピーブルズ氏(写真)が来日し、2014年7月31日に東京・丸の内でメディア・ブリーフィングを行った。ピーブルズ氏は、「米国は2015年半ばにFRB(米国連邦準備理事会)が利上げ開始と予想されるが、それより早く、英国が利上げに動く見通しで、債券投資家は緩やかな金利上昇に備えるべき」との見通しを語った。
ダグラス・ピーブルズ氏は、運用資産が約24兆円に達するアライアンス・バーンスタインの債券部門を統括する責任者。計量分析、および、ファンダメンタル分析を行う2つの異なるリサーチ部門の調査分析内容を「統合された形で運用に活かすのがアライアンス・バーンスタインの債券運用の特徴」と語る。同社のリサーチ体制は、10人のクオンツ・アナリスト、9人のグローバル・エコノミスト、36人のグローバル・クレジット・アナリスト、また、証券化商品分析に10人のアナリストなど、運用業界最大級といえる規模で充実している。
ピーブルズ氏は、リーマンショック後の2009年2月から2014年6月末までのグローバル資本市場のリターンを振り返り、「株式(年率換算リターンでグローバル株式は19.7%など)、社債等(同グローバル・ハイイールド債券は18.4%など)、国債(同米国は3.2%など)、オルタナティブ投資(同コモディティは4.7%など)など、全ての資産がプラスリターンになっている。こういうことは、めったに起こらない」と指摘。
リーマンショック後に行われた、世界各国の中央銀行が参加する金融緩和政策が異例の事態だったことに注意喚起。「すでに米国では、これまでのような低金利の持続に限界が見え始め、英国が遅くとも2015年1-3月期までに政策金利が引き上げられる可能性が高い。半面、ユーロ圏や日本では、さらなる金融緩和の可能性を残し、中国やその他の新興国ではインフレ率を抑えるために金融引き締め傾向を維持する方向にあるなど、各国それぞれに、異なる方向に金融政策を動かし始めている」とみている。
その結果、「債券市場のボラティリティ(資産価格の変動率)は上昇し、アライアンス・バーンスタインのようなアクティブマネジャーが力量を発揮できる環境になってきた」と語っている。
ピーブルズ氏は、「世界経済の成長率は、2014年が2.9%、2015年は3.5%に加速する」とし、「市場のコンセンサスよりは楽観的な見方であるが、歴史的な成長率の水準と比較すれば、3.5%成長に加速するとしても依然として低い成長率であるということは指摘しておきたい」と語った。また、投資戦略として「日本、ユーロ圏をアンダーウェイト。英国をオーバーウェイト」、「国債をアンダーウェイト。米社債を若干のオーバーウェイトにし、CMBSおよびノンエージェンシーRMBSをオーバーウェイト。社債および現地通貨建て債券を中心にエマージング債券へ機動的に投資」としていた。(取材・編集担当:徳永浩)
アライアンス・バーンスタイン・エル・ピーの債券部門CIO兼ヘッドのダグラス・ピーブルズ氏(写真)は、「債券投資家は緩やかな金利上昇に備えるべき」との見通しを語った。
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2014-08-01 10:30