【忠田公夫の経済&マーケット展望】マクロ統計の中身がポイントと指摘したNYダウは当面、調整局面、利上げに向けた準備
7月7日付けで「金融緩和の長期化観測と堅調な企業業績を背景に、5年4カ月間にわたる上昇相場がさらに継続するのかどうか、7月下旬から8月上旬の米マクロ統計の中身の変化を見守りたい」とした。
7月30日に発表された米4月~6月期の実質GDPは年率4.0%増と好調で、個人消費2.5%増、民間設備投資5.5%増と民需主導の復調ぶりを鮮明にした。
とくにGDPデフレーターがプラス2.0%となり、同日行われたFOMC声明において、「米国のインフレ率はFRBの長期目標である2%を継続的に下回る可能性はやや低下した」と述べた。このため、米10年国債金利は前日の2.46%から2.56%に上昇、ドル円も前日の101円90銭台から102円70銭台に急騰した。
さらに、翌31日に発表された4月~6月期の雇用コスト指数が市場予想を上回る前期比0.7%の上昇となったため、賃上げの流れが広がりつつあるとの見方が台頭。FRBによる早期利上げ観測が高まり、10年国債金利は一時2.61%に急騰、NYダウも前日比317ドルの大幅安となった。
ただ、8月1日に明らかになった7月の雇用統計では、非農業部門の雇用者数は前月比20万9000人の増加にとどまり(市場予想は22万人)、同日発表の6月の個人消費支出におけるコアPCEデフレーター(FRBが物価目標の指標としている)が前月同月比1.5%の上昇と前月と同じだったことで、早期の利上げ具体化にはやや疑問符がつき、10年国債金利は2.49%に低下した。
米国経済にとって最も困るのは、住宅市場や個人消費に打撃を与える急激な金利上昇であり、この金利上昇を極めてマイルドなものにしながら、出口(利上げ)に向けた準備をいかに整えていくか、8月下旬のジャクソンホールでのイエレン発言、9月中旬の次回FOMCでの議長記者会見が焦点となる。米国株は当面、調整局面と見ている。(証券アナリスト・経済評論家)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
7月7日付けで「金融緩和の長期化観測と堅調な企業業績を背景に、5年4カ月間にわたる上昇相場がさらに継続するのかどうか、7月下旬から8月上旬の米マクロ統計の中身の変化を見守りたい」とした。
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2014-08-04 15:00