まだまだ続く緑茶・新時代・・・健康効果に注目、研究発表も続々

 茶は9世紀初頭までに中国から日本に伝わった。当初は僧侶が、「眠気を覚ましてくれ、修行に役立つ」として珍重。その後、「茶の湯」という日本を代表する文化ジャンルも完成。明治期には外貨獲得のための手段として茶の生産が奨励された。そして今、茶の持つさまざまな健康効果が注目され、人々は新たな意識で「茶をたしなむ」ようになった。PETボトルや缶入り飲料として気軽に飲めるようになったこともあり、まさに「考えて飲む、選んで飲む」緑茶・新時代だ。(画像提供:トレンド総研)  茶の重要成分として注目されているのが緑茶カテキンだ。緑茶カテキンは茶の渋みの主成分で、ポリフェノールの1種。これまでに抗酸化作用、抗菌作用、抗インフルエンザ作用などさまざまな健康効果が報告されている。生活者の意識・実態に関する調査をおこなうトレンド総研(東京都渋谷区)も緑茶の健康効果に注目し、このほどレポートを発表した。  2013年には、「第54回 日本神経学会学術大会」で、ヒトを対象とした臨床試験で緑茶抹の摂取により「認知機能」低下の改善が確認されたとの研究結果が発表された(伊藤園中央研究所・静岡県立大学薬学部の山田浩教授と社会福祉法人「白十字ホーム」の共同研究)。  これまでも、緑茶カテキンなどの緑茶成分が神経の保護作用を持つことはいくつもの基礎研究で示されていたが、「ヒトを対象とした臨床試験」が示されたことは画期的だ。特に、数分から数時間、数日間内の「物覚え」を意味する近時記憶については、緑茶抹を1日2グラム摂取することで、特に顕著な改善がみられたという。  さらに、国立がん研究センターは「女性で緑茶を1日当たり5杯以上飲む人は、胃がんのリスクが3割ほど抑えられた」、「特に胃の下のほうのがんのリスクは1日5杯以上で半分」になったと報告。同センターは大腸ポリープの再発についても「緑茶錠剤を飲まなかった人では再発率31%だったのに対し、錠剤を飲み続けた人たちでは15%」と、リスクが約半分になったと報告した。  緑茶については、いわゆる“健康効果”についての報告が相次いでいるが、現在でも新たな報告が続いている特徴がある。  もうひとつ、緑茶については見逃せないことがある。茶葉が基本的に、日本国内で生産されていることだ。「外国産食品はだめ」とは言えないが、日本人にとってはやはり、関連法や管理基準がはっきりと分かる日本国内で生産されている食品は安心できる。いや逆に、国外からも日本における食の安全は高く評価されている。日本で生産される緑茶を大いに楽しみ、利用しない手はない。  日本人が茶とつきあいはじめて1000年以上が経過した。茶は日本人と日本文化にとって、大きな恩恵をもたらしてくれた。一時は生活の欧風化で存在感がやや薄らいだ感もあるが、最近は健康効果などが次々に見つかり、改めて注目を集めるようになった。  日本人はやはり、緑茶を手放すことはできなかった。それどころか、PETボトルや缶入り飲料として、以前にも増して気軽に飲めるようになった。自宅で時間に余裕があるなら、良質な茶葉を用いてじっくりと入れるもよし。外出時ならコンビニや自動販売機で買った緑茶を飲むもよし。夏の暑い日の外出時、ほどよく冷えた緑茶でのどを潤す快感は、また格別だ。  緑茶は体によいことが、ますます明らかになってきた。それだけでなく、心をほっとさせてくれる「普段着の飲み物」でもある。日本人はこれからもずっと、緑茶とつきあい続けるに違いない。緑茶・新時代はまだまだ続く。(編集担当:中山基夫)
茶は9世紀初頭までに中国から日本に伝わった。当初は僧侶が、「眠気を覚ましてくれ、修行に役立つ」として珍重。その後、「茶の湯」という日本を代表する文化ジャンルも完成。明治期には外貨獲得のための手段として茶の生産が奨励された。
business,company
2014-08-04 17:00