【為替本日の注目点】ユーロ安望むECBと投機筋の思惑一致、ドル円変動率再び低下
NY市場
ドル円は米長期金利の低下を受け102円22銭まで売られたが、株価が反発したことでドル買戻しが進み、102円台半ばで取引を終える。
ユーロドルは小動き。1.34台前半でもみ合い、値幅も15ポイント程度と、今週のECBの政策を見極めたいとする姿勢が強まる。
株価は5営業日振りに反発。経営危機に陥っているポルトガルの大手銀行がひとまず救済されるとの報道に株価が反応。ダウは先週末比75ドル上昇し、1万6500ドル台に。
債券相場は小幅ながら続伸。先週の雇用統計を受け利上げ観測がやや弱まったことから長期金利は小幅に低下。
金は反落し、原油は反発。
ドル/円 102.22~ 102.63
ユーロ/ドル 1.3410 ~ 1.3425
ユーロ/円 137.42 ~ 137.74
NYダウ +75.91 → 16,569.28ドル
GOLD -5.90 → 1,288.90ドル
WTI +0.41 → 98.29ドル
米10年国債 -0.005 → 2.485%
本日の注目イベント
豪 豪6月貿易収支
豪 RBAキャッシュターゲット
中 中国 7月サービス製造業PMI(速報値)
欧 ユーロ圏7月製造業PMI(改定値)
欧 ユーロ圏7月サービス業PMI(改定値)
欧 ユーロ圏6月小売売上高
英 英7月サービス業PMI
米 7月ISM非製造業景況指数
経営危機に陥っているポルトガルのエスピリト・サント銀行が、ポルトガル銀行(中央銀行)に救済されるとの報道で、同国の国債が買われ、ポルトガル株も上昇しています。この影響でNY株式市場も5営業日振りに反発し、ドル円は102円台前半まで下落したものの、102円台半ばまで値を戻し、昨日とほぼ同じ水準で推移しています。
先週末の雇用統計後に102円34銭までドルが売られ、さらに昨日のNY市場でも102円22銭まで売られましたが、いずれも反発したことで、102円台前半が底堅いと見られる一方、103円台が徐々に重くなってきた印象もあります。消費者信頼指数が2007年10月以来の高水準だったことや、GDPが大きく上振れしたことで利上げ早まるとの観測が高まりましたが、雇用統計をきっかけにこの見方が後退していることが背景です。ドル円はこのまま102円台でもみ合う可能性もでてきました。一時6.8%程度まで上昇したドル円のボラティリティー(3ヶ月)も、再び低下傾向を見せ、足許では5.6%まで低下しています。市場参加者が再び「ドル円は動かない」と見始めたことを示唆しています。
先週末発表されたIMMの建て玉をみると、ユーロの売り持ちが急増していました。ヘッジファンドなどが、ユーロの先安観を強めていることが伺えますが、ネットの売り持ち枚数は10万8000枚と、約2年ぶりの高水準です。その前の週が8万8000枚だったことから、約2万枚ショートが増えたことになります。期間を見ると、7月22日から7月29日の間に積み上げられたことになり、この間のユーロドルの動きは1.3485あたりから、1.3430程度までユーロ安が進んでいます。ユーロドルはその後、1.3366まで下落していることから、買戻しを行っていることも考えられますが、1.34台でショートを積み上げるということは、1.30割れを予想しているとも考えられます。
ECBは7日(木)に理事会を開催し、その後ドラギ総裁の記者会見も予定されていますが、今回の理事会で量的緩和に踏み切るのではないかといった見方も出ています。市場に資金を供給することで、景気の回復を促すというものですが、インフレ率の上昇と失業率の低下にはなかなか結びつきません。またECBが国債を購入して資金供給を行うとしても、どこの国の国債を購入するのかも注目されます。ユーロ安がさらに進み、物価を押し上げてくれればインフレ率が高まることから、ユーロ安を望むECBと、ユーロショートで利益を狙う投機筋の思惑が一致しています。ユーロドルの1.30割れには足許の水準からは400ポイント以上の下落が必要ですが、ユーロの足の速さを考えたら値幅以上に近い距離かもしれません。
本日は10時45分に中国のサービス業PMIが予定されており、注目したいと思います。レンジは102円20銭~102円90銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)
ドル円は米長期金利の低下を受け102円22銭まで売られたが、株価が反発したことでドル買戻しが進み、102円台半ばで取引を終える。
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2014-08-05 09:15